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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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Smile of flower

 UTAU日々(UTAUのSNS)でのきり番の作品。
 ツバメさんのお話が少ないので、こっちにも転載許可もらいました!
 ということで、ツバメ&リーズ。×にも変換可能(笑)






 穏やかな、特に何の問題も起きていない昼下がり。
 共有スペースの片隅でツバメは読書に興じていた。
 退屈を紛らわすためにとマスターがダウンロードしてくれたものだ。
 推理小説というのも、自分が探偵になったような気分になれて、なかなか面白い。
 灰色の脳を必死に働かせていた男に近づいてくる足音に、本の世界に旅立っていた思考が戻った。



Smile of flower




「ツバメさん」
 自分を呼ぶ微かな声がして、ツバメは顔を上げる。
 そこには、リーズがちょこんと所在なげに立っていた。
「どうしたんだい? リーズ」
 ツバメは表情を和ませて、尋ねる。
 設定年齢のわりに小さく幼い少女を、子ども好きな彼は特に可愛がっていた。
「今日は皆と一緒に、春の区へ遊びに行ったと記憶しているのだけれど」
 現実世界の四季と関わりなく、一年中花が咲き乱れている春の区。
 花見をしようと昨日いきなり栄二が言い出し、子どもたちだけで行くことになっていた。
 ツバメも付き添いたかったが、大人は駄目と言われたのであきらめたのだ。
「うん! お花、キレイだった」
 リーズは彼女自身がほころんだ花のような笑みを見せる。
 楽しかったのだと一目で分かる表情に、男も笑みをこぼす。
「その様子だと、途中で抜けてきたようだね。
 私に用でもあったのかい?」
 ラベンダー色の髪についた、桜の花びらを取ってあげる。
 似た色の双眸が椅子に座っているツバメを見下ろす。
 共有スペースの方に戻ってきていたのは把握していた。
 けれど、大抵誰かしらがいるリビングにでもいるものだと思っていた。

「ちょっとだけ、目をつぶっていてほしいの」
 リーズは問いには答えず、後ろに回した腕をもじもじさせてそう言う。
 その様子があまりに可愛らしくて、頬がゆるむのを抑えられない。
「お安いご用だよ」
 悪戯でもするつもりなのだろうか。
 それでもいい。遊ばれることには慣れているし、何より相手がリーズだから。
 どんなことをされても、結局は許してしまうだろう。
 悪気があってもなくても、関係なく。
「これでいいかい?」
 素直に目を閉じ、気配を読む。
 わずかな距離をうめる、小さな足音。
 さらっと、柔らかいもの同士がこすれるような音がした。
「もういいよ」
 かくれんぼの合図のような声に、瞼を上げる。
 と、上から降ってくる、色とりどりの花、花、花。
「ふふっ、驚いた?」
 ツバメの頭の上でリーズが手を広げていた。
 なるほど、後ろ手に隠していたのはこの花々だったのか。

「これはまた……粋なことをするね」
 くつくつと笑みがもれる。
 可愛らしい少女の、微笑ましい行為だ。
「いき?」
 検索するという考えが出てこないのか、少女は小首をかしげる。
「素敵な発想だということだよ。
 とても、綺麗だ」
 ツバメは思ったままを伝えた。
 ピンクに黄色に白に紫と、鮮やかな色が目を楽しませてくれる。
 桜にミモザにマーガレットに菫。名前の分かる花だけでもたくさんある。
 これだけ集めてくるのはきっと大変だったはずだ。
「良かった!」
 リーズは安堵したような表情を見せる。
 そう言ってもらえるのを待っていたかのように。

「あのね、お花は人の心を安らげてくれるんだって」
 両手を合わせ、リーズは得意げに話す。
「リラックス効果? ちんせいさよーだったかな」
 意味をきちんと理解していないと分かる、たどたどしい発音。
 きっと頭のいいユズあたりが、花見の最中に知識を披露したのだろう。
「リーズはお利口さんだね」
「てへへ」
 褒めてあげれば、嬉しそうに少女ははにかむ。
「だからツバメさんにおくろうって思ったの。
 ありがとう、って気持ちもこめて」
 眩しいくらいの笑顔で、リーズは言った。
 その表情にどれほど癒されているか、知らずに。
 その純真さにどれほど悩まされているか、知らずに。

「ちゃんと、届いた?」

 こてん、と首をかしげる。
 不安なのか、アメジストのような瞳は揺らいでいる。
「ああ、嬉しいよ」
 幸せをかみしめるように、ツバメはゆっくりとそう告げた。
 この愛おしさは、言葉にはできない。
 いまだ幼い少女に向けるにしては、大きすぎるから。
 きっと困らせてしまうだろうから。

「ありがとう、リーズ」
 だからツバメは礼と共に、リーズの頭を優しくなでるだけにとどめるのだった。





 愛おしさって別に恋愛感情とイコールではありませんよね~。『哀れみ』とかって意味もあるらしいし。
 でも恋愛感情でもありだと思ってるロリコンがここに(笑)
 版権での好きカプの最高年齢差は21歳ですv(人外は抜かして)
 ちなみに最初にツバメさんが読んでるのが推理小説なのは、単純に自分の趣味です!
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