VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです
[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
≪ Smile of flower | | HOME | | Ilgiorno della Mimosa ≫ |
I love you
今日はミクの日ですね♪(3月9日)
そんなわけでカイミクです! ミク視点です! 設定3のクールミクと意地悪KAITOですが!
いつもより若干テンション高めでお送りしてます!(本編が微妙な空気だから)
「ミク?」
ずっと、呼ばれているのは知っている。
無視され続けて苛立っているのだろう。不機嫌さを隠しもしない声。
それに答えられるだけの余裕が、今の自分にないのも、ミクは知っていた。
「ミク、どうかしたの?」
かすかに心配そうな響きも伴っているように聞こえるのは、己の願望か。
「返事くらいしなよ、ミク」
同じ台詞を何度も繰り返すことに嫌気が差したのだろう。彼はため息をつく。
「もしかしてさっきの、本気にした?」
「してません!」
唐突に発せられた問いに、気づけば即答していた。
はめられた。とミクはすぐ我に返る。
KAITOは彼女の注意を引こうとしたのだ。
「そうなの?
本気にしても良かったのに」
クスッと、男性型にしては艶のある笑みをKAITOはこぼす。
「からかわないでください」
ミクは顔を背け、突っぱねた
その言葉を素直に受け取るには、彼の意地の悪さを知りすぎている。
「からかってなんかいないよ。
僕は本気にされたって困らない」
二通りの意味が考えられる言い方をKAITOはする。
『本当のことだから困らない』とも、『僕には被害がないから困らない』とも。
彼は明言しない。
ミクを悩ませ、混乱させるためだ。
「それがからかっていると言うんです」
できるだけ動揺を悟られないよう、ミクは返す。
先ほどからずっと、自分はおかしい。
普段なら簡単に流せる軽口に、過敏に反応してしまったり。
自分が自分ではないような感覚。
自覚していても、どうにもできなかった。
「たかが罰ゲームじゃないか。
どうして不機嫌になんてなるのさ。
『嫌い』って言われるよりは気分も良いだろ」
KAITOのため息が聞こえる。
ミクの様子が変なのは、彼にもバレバレらしい。
その理由が、あの罰ゲームにあったことまで。
相変わらずの観察眼に、ため息をつきたいのはこちらだと思った。
「そういう問題ではありません」
「じゃあ、どういう問題?」
顔を合わせないようにソファーに横向きに座ってそう告げれば、当然ながら尋ねられて。
「簡単に言葉にできてしまうKAITOさんに、呆れただけです」
言葉を探し、なんとかミクは答える。
本当のことなど、本人に話せるわけがない。
フリーウェアだったトランプのデータを拾ってきたのは、MEIKOだった。
一位だった者が最下位だったものに罰ゲームを言い渡せる。
そんなありきたりなルールで、勝ったのはMEIKO。負けたのがKAITO。
面白いことが好きなMEIKOは言った。
『ワタシとミクちゃんがカードを引いて、数字が大きかった方に『好き』って言うこと』
MEIKOが引いたのは5。ミクが9。
結果、KAITOはミクにためらうことなく『好き』と告げたのだ。
「たったの二音だからね」
悪びれもなくKAITOは言う。
少なからず傷ついている自分に、また驚いた。
「それに、言ったよね。
本気にしてもかまわないって」
「……っ」
ひざに置いた手をぐっと握りこむ。
だめだ、これ以上は聞いてはいけない。
分かっているのに、音を遮断することはできない。
「好きだよ、ミク」
思わず本気にしてしまいそうになるほど、甘い響きが耳で木霊して。
ミクは無性に泣きたくなった。
「冗談は……!」
震える声で講義しようとすると、KAITOが立ち上がる気配がした。
そのまま足音がして、遠ざかっていく。
「今日はこの辺にしておくよ。
可愛い妹をあまり困らせたくはないからね」
KAITOのいたわるような声。それはいつもと比べると格段に優しくて。
ミクが振り返った時には、リビングの扉が閉まっていくところだった。
「……白々しい」
残されたミクは一人、そう呟いた。
素直には信じられない。
日頃から困らせているのはどこの誰だと、言ってやりたい。
――今も、彼のせいで困っているのに。
本気にするしない以前の問題だった。
たったの二択だった、『好き』という言葉。
本当は。
本当はただ、二択のもう一方が選ばれた時のことを考えて。
嫌だと、思ってしまったから。
KAITOの『好き』が他の誰かに告げられるのを、聞きたくないと思って。
そうならなかった現実に安堵して。
それに自分で驚いて、信じられないくらい動揺して。
だからずっと、KAITOと目が合わせられなかったのだ。
「本気に、してもいい。って……」
結局、どちらの意味だったのだろう。
自分の想いに気づいてしまったミクには、甘い毒のような言葉。
振り回されているという自覚はある。たぶん、彼自身も予測していなかったほどに。
この気持ちの対処方が分かるミクなら、普段からKAITOにからかわれているはずもなく。
少女は今もまだ高鳴っている胸を押さえて、深くため息をつくのだった。
≪ Smile of flower | | HOME | | Ilgiorno della Mimosa ≫ |