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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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Princess holding

 UTAUカップル第二段(?)テッド×テト。
 テトのキャラクターをどうしようか迷い、偉そうなボクっ子になりました。






 歌の調整が一段落して、マスターから「お疲れ」とねぎらいの言葉がかかる。
 通信が切れて、とたんに今まであふれていた音がなくなった。
 無音の中、どちらともなくもう一人の自分を見やる。



Princess holding




「疲れた。動けない。運べ」
 テトは地面にぺたりと座り込んだかと思うと、そうのたまった。
「意味が分からん」
 VOCALOIDと同じでUTAUには“疲労”という観念がない。
 精神的なものはあるだろうが、テトがそんなやわな神経を持っているとは思えなかった。
「部屋まで運べ」
 確かに戻る部屋は同じだけれど、命令されるいわれはない。
 偉そうな口調に聞く気も失せるというものだろう。
 テッドはかまわずに、自分だけ先に戻ろうと歩を進める。
「無視するな!!」
 背中に怒声が浴びせられる。
 キンキンと、耳障りと言ってもいいような声。
 彼女の特徴でもあるのだし、自分も高い声を出せばああなるとは分かっている。
 せめて叫ばなければ、それほど悪くはないのに。
「無視はしていない。聞く耳を持たないだけだ」
 このまま放っておいてもよかったが、少しの良心はあったので振り返る。
「そういうのを屁理屈って言うんだぞ」
「知っている」
「だったら、運べ」
 どうしてもテッドに運んでほしいらしい。
 頼むのではなく命じるのが、彼女らしさなのだろう。
「断る」
 栄一やソラなら仕方がなさそうに言うことを聞くのだろうが、テッドにその気はなかった。
 運ぶ、ということは、担ぐか抱き上げるかしなくてはならない。
 重さは感覚を遮断すればあまり感じなくはなる。
 ただ、気持ちの問題だ。
 つまるところ、面倒くさい。

「君は実に馬鹿だな。
 ボクの命令は聞かないといけないんだぞ!」
 握りこぶしを作って力説する。
 根拠のない、ただの独りよがりな愚論でしかない。
「どこにそんな決まりが?」
「今、ボクが決めた」
 えっへん、と腰に手を当て、まるで自分が法律だとでも言いたげだ。
 元は同じ存在だったはずのテトの思考回路が理解できないのは、今に始まったことではない。
 もう一つの人格として別けられたときから、テトとテッドは別の固体なのだから。
「なら聞く必要はないな」
「なんでなんでなんでっ!?」
 納得できない、とテトは両腕を振り回す。
 自分の言う通りにならないことなどどこにも存在しないのだと、そう信じているような態度だ。
 実際に、疑っていないのかもしれない。
 他人の好意の上に自由が利いているのだと、分かっていないのかもしれない。
「わがままもその辺にしておいたらどうだ。
 マスターに呆れられるぞ」
 とっくに通信は切れているから、今の状況が分かるはずもない。
 けれど今回に限らず、テトのわがままにはよく苦笑いを浮かべていた。
 手に負える子ほど可愛い。とも思っているようだったが。
「そんなことあるはずがないだろう」
 きっぱりとテトは言い切る。
「その自信はどこから来るのやら」
「一々ムカつくヤツだな!」
 ふっと馬鹿にするような笑みで言ってやれば、頬をふくらませて怒る。
 沸点の低いテトは、簡単に声を荒げる。
 それはやはり耳に響いて、テッドの神経を逆なでする。
 一つ、ため息をつく。
 時には思い通りにならないものもあるのだと、教えるつもりだったが、気がそがれた。
 これ以上言い合いを続けていたら、一体いつ部屋に戻れるか分からない。

「……部屋まででいいんだな?」
 座り込んでいるテトの隣に膝をつき、確認する。
 リラクゼーション区域だとか、さらに遠くまで運ぶつもりは、さすがにない。
「初めからそうしておけばよかったんだ」
 そう言いながら青年の首に腕を回してきた。
 つまり抱き上げろということか。
 膝の裏と腰に手をやり、立ち上がる。そこまで重くはない。
「文句を言うなら運ばないぞ」
 テッドが告げると、テトは黙り込む。
 やはり自分で部屋に戻る気はないらしい。
 歩き出してから、付け足すようにテッドは口を開く。
「押し問答が面倒くさくなっただけだ。
 時間の無駄だからな」
「むっ……!? それはひどいぞ!」
「お互い様だ」
 こうしてわがままを聞いてやっているのだから。
 多少の文句は聞き流すのが大人というものだ。
 まあ、設定年齢はともかく、精神的にテトが大人だとはとても思えないけれど。
「ボクは寛大だからな。許してやろう」
 抱き上げられているというのに、わざわざ背を反らしてポーズを取る。
「偉そうな口を利く」
 テッドはわざとらしく息をつく。
 彼女の言動に呆れさせられるのは毎度のことだ。
「事実、偉いのだから当然だ」
「分かった分かった」
 ぽんぽんと、縦ロールを崩さないように頭を軽く叩く。
「分かっていないだろう!」
 むにーっと後ろで結んでいる髪を思いきり引っ張られる。
 正直痛い。放してほしい。
 ふいにわいた悪戯心。

「なんだ、わがままお姫さま?」

 くっと笑みをこぼし、わざと声のトーンを甘くして言う。
 思い通りに、テトは顔を真っ赤にして声を上げた。
「……っ! ば、バカッ!!」
 口癖がうまく言えなくなるくらいには、動揺させることができたらしかった。





 自給自足カップル。テッドは別人格を持たせるパッチがある、という設定だったり。
 UTAUスキーの中でははやってる、みたいな。ソラサラみたいに音源は別じゃないから、同じ部屋を仕切って暮らしてます。
 なぜかテトが三分の二を占領してたり。文句を言わないテッドは良いヤツ。
 マスターは全然別だったり。UTAUがたくさん居るとこの二人です。けどまだ二人しか出てこない。

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