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≪ 11・君もいつかは知るだろう | | HOME | | Stars beautiful tonight ≫ |
Your name, My Lover
『名前を呼ぶ』。このネタもかなり使い古してますよね……ボロ雑巾みたいになってるかも?(笑)
栄二モモ。甘々、だと自分では思ってます。
「栄二さん、どうかしたんですか?」
モモは一段落した掃除の手を止め、不思議そうに小首をかしげる。
「ん? どーもしないよ」
栄二はゆるんだ頬を手で押さえ、そう答える。
どうもしていない、のはたしかだ。
どうにかなってしまった、かもしれないが。
「なんだか嬉しそうにしてます」
まだ納得がいかなさそうにモモは栄二を見る。
交わる視線が、気恥ずかしくて、嬉しい。
「そりゃあモモちゃんと一緒にいるからね!」
これ以上ないくらい、今の自分は幸せそうな顔をしているだろう。
そんな自信を持てるほどに、栄二は浮かれていた。
「モモちゃんモモちゃんモ~モちゃん」
まるで幸せになれる呪文のようだ。
大好きな人の名前を呼ぶだけで、心が舞い上がる。
「はい、モモです。
何かご用事ですか?」
そして大好きで大好きな人が応えてくれる。
やっぱり、幸せだ。
栄二は何度目か分からない思いをかみしめる。
くり返し考えてみても、いつも同じ結論にたどり着く。
「ううん、何にもないんだけどさ」
用事はない。
モモはやってほしいことは言う前にやってくれるから。
当たり前になった家事。見えないところでいつも支えてくれる細い腕。
どれだけ助けられているのか、分からない。
「モモちゃんの名前を呼んで、返事が返ってくるのが嬉しいんだ!」
特別な名前。誰より大切にしたいと願う人の名前。
呼べば、すぐに愛らしい声が返ってくる。
愛しいと、思わずにはいられない。
両手で抱えても足りないくらい、栄二の特別を持っているモモ。
傍にいる。声が届く。
どれくらい嬉しいかなんて、自分でも計りきれない。
「だったら、好きなだけ呼んでください。
ちゃんと返事をしますから」
モモが花のような笑みを浮かべてそう言ってくれる。
この笑顔が、何より大切で、守りたい。
「モモちゃん」
栄二が名前を呼べば、
「はい」
モモはちゃんと応えてくれる。
「あ~やっぱ好きだなぁ。
モモちゃん可愛い!」
思わずモモをぎゅっと抱きしめる。
自分よりも小さくてやわらかい、宝物。
甘い香りがふわりとかすめた気がして、栄二は目を閉じる。
ぬくもりが、腕の中にいる。
緊張して固まって、どうしようかときっと困っている。
「栄二さんも素敵ですよ」
すとん、と。
体重が預けられる。
信頼してくれているのだと、伝わってくる。
自分の体が兄くらい大きければ、すっぽり包み込んであげることもできたのに。
そう思ってしまうくらい細い肩を、栄二は壊さないようそっと抱き寄せる。
「モモちゃんが笑顔で返事してくれるのが好き。
モモちゃんの可愛い声で、オレの名前呼ばれるのも好き。
モモちゃんの全部が、大好きだよ」
ゆっくりと、一音一音を大切にして言葉にする。
自然と降り積もってゆく『大好き』だという想い。
英二の心を捕らえて離さない、少女の魅力。
何度好きだと言っても足りない。何度名前を呼んだって、足りない。
あふれ返ってしまいそうな想いが、音となって口をつく。
「栄二さんが笑顔で駆け寄ってきてくれるのが好きです。
栄二さんが元気よく、私の名前を呼んでくれるのも好きです。
栄二さんのすべてが、大好きですよ」
モモからも、たくさんの『大好き』をもらう。
長く、心に秘めてくれていた想い。
栄二が気づくまで待っていてくれた、真心のかたち。
これからは、同じだけの好きを返していけるようにと。
心から栄二は望む。
「相思相愛だね!」
あこがれていた言葉。自分がそうなれるとは思っていなかった言葉。
今なら、使うことができる。
ずっと前から自分を想ってくれていた、気持ちに応えてくれた彼女となら。
「そうですね!」
同意してくれた大好きな人は、さくらんぼのように顔を真っ赤に染めていた。
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