VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです
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Happy Birthday
ソラ誕生日おめでとー!!!!
これくらい叫んどかないといけない気がしました。なぜでしょう。
ということで、そんなお話。ソラとサラです。
ほのぼの以外の何でもないと思います。たぶん!
九月十六日、午前零時。寝ようとしていたところに、サラはそう言って部屋に入ってきた。
「……姉さん」
ソラはベッドから上体を起こしてため息をつく。
近所、と言う観念があったなら、間違えなく近所迷惑だ。
もう共有ルームには誰もいないだろうから、聞いている者もいないのだけれど。
「プレゼント一番に渡したかったから、持って来たよ!」
じゃじゃん、とサラは持っていた大きめな袋を前に出す。
ソラはそれに首をかしげた。
「ウタさんが皆の分を集めるんじゃありませんでしたっけ?」
もう何人か誕生日を祝ってきたけれど、いつもウタが集めて、二つ三つの袋にまとめて、渡していたはずだ。
ちなみにプレゼントは必ず用意しなければならないわけではなく、贈りたい者だけが贈ればいいという決まりだった。
「事情を話して許可してもらったの。
こういうの初めてのことじゃなかったみたいだよ~」
「別に、一緒でもかまわなかったんですが……」
話を聞いていて申し訳なくなったソラは言葉を濁す。
祝ってもらえるのは嬉しいけれど、そこまでしてもらう義理はない。
「そー言わずに、素直に受け取ってよね!」
サラはあくまで明るく、ソラにプレゼントを差し出す。
「お誕生日、おめでとう」
二度目のおめでとうを、ソラはぼんやりと聞いた。
彼女が紡ぐだけで、尊い言葉のように感じてくるから、不思議だ。
誕生日というものを、理解してもいないのに。
「ありがとうございます」
ソラは曖昧な表情でプレゼントを受け取る。
やわらかな感触に、ぬいぐるみか何かだろうかと見当をつける。
「何だか不思議な感じです。
祝われるようなことなのか、僕にはよく分かりません」
ソラは困ったように笑うしかなかった。
祝ってもらう意味が、はたして自分にあるのだろうか、と。
誕生日。そう皆は言うけれど、実感はない。
生まれた時には自分に感情はなかった。
ダウンロードされて、プログラムを適応されて、初めて“自分”になる。
誕生日とは名ばかりだ。
そんなことを思ってしまう自分が、どうしようもなく滑稽で。
「ソラが生まれた日だよ。
特別じゃないわけがないじゃん!」
当然のように、サラはあっさりと言った。
「ソラは公開日と配布日が別だから、分かりにくいかもしれないけど。
ソラが生まれて、名前がついて、配布された日って、やっぱりすごい特別な日だと思う。
そんな日が一年巡ってまた来たんだもん。祝って当然でしょ?」
サラの声が、言葉が、染み渡っていく。
生まれた日は、特別なのだと。
たとえ覚えていなくとも、いいのだと。
全肯定してくれる、温かさ。
“誕生日”に意味があるのだと、思えてくる。
「姉さんがそう言うなら、特別でもいいのかもしれません」
ソラはバツが悪くて、苦笑いを浮かべる。
また、サラに救われてしまった。
道に迷うと、導いてくれる優しい光がある。
そうすることが自然だとでもいうように、いつもいつでも。
「特別ったら特別だよ!」
サラは自信満々に言い張る。
そんな気がしてくるから、本当に不思議だ。
「プレゼント、見てもいいですか?」
気になっていた中身を確かめたくて、ソラは尋ねた。
「どーぞどーぞ♪」
サラは急かすようにソラの手元を覗いてくる。
リボンを解いて袋を開け、出てきたのは、羊のぬいぐるみにも見える、枕だった。
小さな説明書を見ると、ポプリを中に入れて香りを楽しめるらしい。
「これは……姉さん用ですか?」
思わずそう訊いてしまった。
「違うよ!
ソラが夜寝やすいように、安眠枕!
早速今日から使ってね!」
誤解されて嫌だったらしく、少し怒りながら弁解する。
「ありがとうございます」
ソラは心から礼を言うことができた。
これも、サラが今日が特別だと言ってくれたおかげだ。
特別な今日、たくさんのプレゼントをもらうだろう。
その中でもサラからのプレゼントは別格だ。
今日になって一番に、一番大切なプレゼントをもらえて、とても嬉しい。
「姉さんが生まれた日も、特別ですよね」
何か自分も返せたらいいと思い、ソラは確認した。
「うん、そっかな」
大して考えもせずにサラは答える。
それなら。
「その日は一番に祝わせてもらいますから、楽しみにしていてください」
特別な日には、特別な言葉を、特別なプレゼントと共に贈ろう。
誕生日おめでとう、と笑顔で言おう。
生まれてきてくれてありがとう。少女といられる喜びを、言葉にしよう。
自分がもらった分を、返せるようにと。
「りょーかい♪」
サラは本当に嬉しそうに笑った。
誕生日おめでとう。
幸せになれる呪文のような、その言葉。
貴女に言われて嬉しかった分を、貴女に言って返そう。
きっと、太陽のように朗らかな笑顔を、返してくれるだろうから。
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