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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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love can not hide

 マコとシンのお話。相変わらずマスター←マコ←シンです。
 一応、『Idealistic theory』前提のお話。読んでおいた方がたぶんいいです。






――歌えや 歌え 声続く限り
  想い散らぬなら ただ歌え
  歌えや 歌え 恋渇かぬよう
  想い音にして なお歌え――



love can not hide




 声は風に解けて消えていく。
 波打つ草が拍手をするように擦れて音を奏でる。
 空はただマコを包み込み、太陽は優しく見守るよう光をこぼす。

 観客はそれだけ、とマコは思っていた。
 風に流れてきた手を叩く音に、マコは驚いて振り返る。
 そこには楽しそうな笑みを浮かべているシンがいた。
「シンちゃん、聞いてたの」
「ん、ダメだったか?」
 声をかけると、シンは会話がしやすいようにかさらに近づいてくる。
「駄目ってことはないけど……」
 誰に聞かせるつもりもなかったから、好きに歌ってしまった。
 聞き苦しいとまではいかないかもしれないが、面白くなかったのではと思う。
 何より、不意に心を覗かれたようで、恥ずかしかった。

「マコっちの歌はまっすぐだな~」
 感心したように言われ、マコは首をかしげた。
 『和音マコ』は明瞭系の声質に分類されるものの、今の言葉には別の意味合いを含んでいるように聞こえる。
「よく通る声ってこと?」
「それだけじゃなくってよ、なんつーか、心にまっすぐ届く」
 どこか熱っぽくシンは語る。

「誰を想って歌ってんのか、すげー伝わってくるんだよな」

 楽しそうな笑み、がくずれた。
 瞳にはたしかに切なげな色が見えて。
 マコの気持ちを知っているからだろうか?
 胸に秘めていたはずの大切な想いが、顔を出す気配がした。
「シンちゃん……」
 何を言えばいいのだろうか。
 ずっとずっと、仲間たちに、一番の友人のルナにさえ黙っていたこの想いを。
 目の前の男には気づかれている。
 シンの緑青色の双眸は、すべてをありのまま映し出す、隠し通せない色をしていた。
 嘘をついたところで騙されないだろう、彼は。
 下手なごまかしも通用はしない。
 そんな空気が、二人の間に流れている。

「誰にも言わないでね」
 結局、マコは降参した。
 目を合わせていられなくて、うつむいてしまう。
「何を?」
 分かっているだろうに、わざわざシンは問う。
「私の……好きな人のこと」
 言葉にするのは初めてのことで、本人を前にしているわけでもないのに鼓動が鳴った。
 しめつけられたように痛みが走り、胸元でぎゅっと手を握る。
 大切に温めてきた想いだった。
 消せればいいのにと、幾度も思って。
 そのたび、育ってしまった想いの深さに気づかされた。
「言わねぇさ。
 マコっちが黙ってる間はよ」
 意外にあっさりと、シンは承諾してくれる。
 周囲を困らせることはしても、厭われるようなことはしない青年らしい返答かもしれなかった。
「叶わないって、分かってるんだもの。
 皆に心配かけたくないわ」
 もし知ったら、水くさいと言われるだろう。
 ルナなどは、どうして話してくれなかったのかと怒るかもしれない。
 それでもマコは秘密にしておきたかった。
 途惑うこともあるほど、優しい彼らだから。
 余計に気をわずらわせたくないと、マコも思うのだ。

「マコっちならそー言うと思ったぜ」
 シンはわざとらしくため息をつく。
「どういう意味よ?」
 文句を言われたような気がして、顔を上げ仏頂面で返す。
「周りのこと、考えすぎ。
 オレみたいにちっとくれー迷惑かけたっていいんだぜ」
 仕方ないな、と我の強い子どもに見せるような苦笑。
 どう言われようと、マコは考えを改めるつもりはない。
「シンちゃんはちょっとじゃないじゃないの」
 ずばっと指摘すると、シンは笑い声を上げた。
 けれどマコは知っている。
 大丈夫な迷惑しか、かけてこないことを。
「まあ信用できないかもしんないけど、誰にも言わねぇから」
「ちゃんと信じてるわよ」
 冗談はよく口にするけれど、悪質な嘘はつかない。
 シンという男のことを、これでも結構分かっているつもりだった。
「そっか」
 シンはほっとしたような、嬉しそうな笑みを浮かべた。
 そんな顔をしなくとも、シンの言葉を信じる者は他にもいるだろうに。
 モモやタク、ソラ、ルナに……。

「……気づかれたのがシンちゃんで良かったかもしれないわ」
 ぽつりと、小さくマコは本音をこぼす。
 風下にいるシンには届いただろう。
「?」
 意味が理解できなかったようで、シンは首をひねる。

「少しなら迷惑かけても平気って、思えるから」

 ふふっと笑んで、マコは言った。
 シンには頼っても平気だと、なぜか思える。
 些末なことは気にしない豪胆さ。何があっても笑っていそうな快活さ。
 どんな格好悪い面も、すべて受け止めてくれそうな、懐の深さ。
 寄りかかっても大丈夫。そんな気がするのだ。
「あ~……」
 シンが手で顔を覆って声を上げた。
 そのまましゃがみ込んで、髪をくしゃくしゃっとかき回す。
「どうかした?」
 マコはひざを折って覗き込む。

「や、殺し文句だなって……思っただけ」
 そう言ったシンの顔はどこか赤くて。
 本当にどうしたのだろうかと、マコは首をかしげた。





 前回、ばれてるかも? ってのだったのが、今回で確定的になりました。
 好きな人の言葉って、ちょっとしたのでもクリティカルヒットになったりとかあるかなぁと。
 マコは鋭い方という設定なので、シンの気持ちにいつ気づくかなぁ(^^)
 たしか互助会妄想スレの影響でなんですが、シンのマコっちって呼び方が好きです。
 でも本気のときは名前だけで呼んだりとかしても……いけね、これ以上はネタバレになります(笑)
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