VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです
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I love you
ソラサラ。……微糖? カイミクでやった、『罰ゲームで愛の告白』ネタ。
ちゃんと書いてはないけど、VOCALOIDたちと一緒の方の二人です。
「姉さん」
ためしにいつも通り呼んでみる。
「はぁい?」
すぐに返事は返ってくる。
何かを期待するようなまなざしで。
「…………っ」
ソラはうつむいて、唇をかむ。
「ほ~らソラくん、言っちゃいなよ~」
能天気なサラはそうやってソラを急かす。
冗談じゃない。こっちの身にもなってくれ。言いたいことは山ほどある。
「無理です、無理無理絶対に無理。
僕には言えません!」
けれどとりあえず、否定の言葉を叫ぶように告げた。
絶対に嫌だ。誰にだってできないことはある。
「簡単に根を上げな~い。
成せば成る、だよ?」
「使い方間違ってませんか、それ」
「知らなーい」
サラはのらりくらりとソラの意見をしりぞける。
掴み所がないのは今に始まったことではない。
いつも、今回もそのせいでソラは劣勢に立たされるのだ。
「……やっぱり、違う罰ゲームに替えてください」
ため息をついて、サラに頼み込む。
罰ゲームありのトランプなんて、しなければよかった。
サラが言い出したことだったから。心弾ませていたから。
彼女が一番になって、自分が最下位になるなんて、思わなかったから。
思わず頷いてしまった過去の自分を責めたくなった。
「それじぁ罰ゲームになんないじゃない。
もうここはあきらめて、言っちゃいなよ~」
ウキウキと跳ねる声でサラは促す。
いったい姉は何がしたいのか。どうしてそこまでして言わせたいのか。
ソラには彼女の考えていることが分からない。
「姉さんは、何でそんなに嬉しそうなんですか?」
困りきった少年は、思ったことを素直に尋ねる。
「だぁって~、ソラの口から聞けるんだよ?
いっつもあたしばっかり言ってたのに」
この状況を楽しんでいるようなサラの答えに、ソラは瞳を細める。
何かがぷつりと切れたような、そんな感覚。
「――サラ姉さん」
気づけば彼女が苦手とする名前を呼んでいた。
「ふぇ!?」
目を丸くして、声をもらしたサラの肩に手を添え、引き寄せる。
体勢を崩した彼女の身体が、胸に軽い衝撃を与えた。
自分と同じ色をした髪を優しく梳いてやる。
「サラ姉さん、サラ……好きですよ。
誰より何より貴女のことを想っています。
サラ、僕は貴女が――」
「たっ、タンマタンマ、ストーップ!!
一回でいいの! 一回で!!」
心行くまで思いのたけを言い募ろうとしたのに、サラの大声と手にはばまれる。
口をふさがれながらも彼女に目をやると、顔を真っ赤に染めていた。
どうやら女性型としての羞恥心は持ち合わせていたらしい。
「回数を決められた覚えはありませんよ」
サラの手をどけて、ソラは反論する。
罰ゲームは、『サラに好きだと言うこと』。
何度言うのか、どんな風に言うのか、詳細は決められていない。
「ま、まあ、そうなんだけどさ。
でもわざわざ自分で罰ゲーム増やさなくっても……」
サラはぶつぶつと文句を言う。
「毒も食らわば皿までです」
どうせ彼女には分かっていないのだ。
ソラが罰ゲームの内容を聞いたとき、どんな気持ちになったかなんて。
いつも想いを隠して過ごすというのがどれほど大変なのかなんて。
だからいっそのこと、全部暴露してしまいたくなった。
今の少女には受け止めきれないだろう、大きく育った感情を。
「ソラにとって今のは毒だったんだ」
少しだけがっかりしたような、それでいて安心したような。
曖昧な表情をサラは浮かべる。
「何ですか? もしかして、本気にしたとか」
意地悪く笑んで、ソラは言ってやった。
ボッと、赤かったサラの顔にさらに火がつく。
本当にこういうときは分かりやすい。
いつもこれくらい考えが読めればいいのに、とソラは思った。
「ししっ、してな……くは、ない……けど」
嘘をつくにはその顔も口も正直すぎた。
居心地悪そうに体を縮こまらせ、視線を泳がせて。
動揺の大きさは手に取るように伝わってくる。
「本気にしてもいいですよ。
嘘なんて言ってませんから」
「えぇ!?」
さらに驚かせると分かっていて、ソラは言った。
そして、一瞬、後を続けようか迷う。
「姉さんのことが好きなのは当たり前でしょう。今さらですよ。
それとも姉さんは、僕のことが好きじゃないんですか?」
けれど結局、うやむやにしてしまう言葉を口にする。
本当は全部を知ってもらいたかったけれど、それはソラの自分勝手な思いだ。
押しつけたいわけではない。
いつか、自然と受け入れてもらいたい。
だから今はこれでいい。
サラは目をまん丸にしてから、にへら、としまりのない笑みをこぼした。
「ううん! 好き!!
ソラのこと、だ~い好き♪」
意味の違う『好き』なら、サラはたくさんくれる。
それだけでは満足できなくなってきている自分にも、気づいている。
「僕もですよ」
そう返しながらも、ソラは考えてしまう。
サラの『好き』の重みが変わる日が来るのかどうか。
願望としては、来てほしい。
ただ、冷静な面は、今のままでは無理だろうと予測している。
ソラが努力して、変えていかなくては。
少しずつでいいから、意識してもらい、弟以上に見てもらわなければ。
「なんか罰ゲーム関係なくなっちゃったね!」
そう苦笑するサラを見て、ソラは瞳を細める。
こうして一緒に過ごす日常こそが、かけがえのない、尊いもの。
「いいんじゃないんですか? 気にしないでも」
姉に向けながら、自分にも言い聞かせるように。
気にしても、仕方がない。
もう少しくらい、この居心地のいい中途半端な関係を、続けていてもいいかもしれない。
ソラはそう思って、ふわりと穏やかに笑った。
どうして罰ゲームで無理やり「好き」と言わせようとしたのか。
そこまで頭が回らなかったのは、彼の落ち度。
結局のところ少女の想いは、本人のみぞ知るということで。
ゲームは終わりを告げたのだった。
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