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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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My name, Your voice

サーチ登録してからの伸びに驚き。ちょ、何もなくてすみませっ…!
とりあえず作品を増やしてみることにした。
カイミク。だけどいつもと何か性格が違い、バカイト属性の強いKAITOとツンデレ気味のミク。
多分、他所の家の子たちです。きっとマスターはネタ好き。






「ミク」

 兄が自分の名前を呼ぶ。
 穏やかで優しい声で、嬉しそうに。



My name Your voice




「ミークミクミクミクミク」
 何度も、繰り返して。くすくすと笑みをこぼしながら。
 それでも少女は返事もしなければ、青年の方に顔を向けることすらしなかった。
 断じて喧嘩をしているわけではない。ミクが怒っているわけでもない。
 名を呼ぶ回数が五十を超えたところで、耐えられなくなってミクはKAITOを振り返る。

「お兄ちゃん、楽しい?」
 訝しがりながら首をかしげて問いかけてみれば。
「うん、楽しい」
 間髪いれずに肯定が返ってきた。
 ミクはどう反応すればいいのか分からずに、ただ困り顔のままため息をつく。
 兄はたまに不思議なことをしたり、言ったりする。
 それはたとえば「御伽噺の王子でもアイスは食べられなかったんだ!」と瞳をキラキラさせたりだとか。
 何に影響を受けたのか「卑怯こそ正義っ!!」と叫んで服を脱ぎだしたりだとか。
 いきなり体育座りの姿勢で「ドナドナド~ナ~」と情感たっぷりに歌いだしたりだとか。
 両手の指を合わせても全然足りないくらいだったけれど。
 今回も、それに新たに加えられるのかもしれない。

「私の名前って、おもちゃじゃないんだけど」
 ミクはご機嫌ななめといった顔を作る。
 本当はそんなに怒ってはいない。
 名前を呼ばれるのは自分が求められているみたいで好きだ。
 特に大好きな兄の声で紡がれた名は、ただの音の羅列なはずなのに特別な気がして。
 けれど、素直にそうは言えない。ようは単なる照れ隠しだった。
「そんなつもりじゃないよ」
 KAITOは苦笑する。
「じゃあ、どうしてそんなに連呼するの?」
 半ば問い詰めるように、きつい口調で尋ねると。
 ふわりと、青年はいつもよりさらにやわらかな笑みをこぼした。

「綺麗な名前だなって思って。
 ミクに、よく似合ってる」
 心からそう思っていると分かる笑顔。
 好きな表情だけれど、いつもなら笑い返すのだけれど。
 なぜか今日はそれができない。

「ミクもミクの名前も好きだから、たくさん呼びたくなるんだ」

 KAITOはさらっと恥ずかしげもなく言った。
 ドキドキ、ないはずの心臓が大きな音を立てる。
「そ……そっか」
 どうしようもないくらい面映くて、青年から顔を背けた。
 照れくさい。恥ずかしい。
 そんな言葉だけでは、今の感情を表現しきれなくて。
 よく分からない心の動きにミクは途惑っていた。

「ミクミクミーク」
 飼い犬を呼ぶ時みたいに、けれどそれよりもやさしく甘く響く。
 EとDの繰り返しでしかない旋律が、特別な意味を持つ。
 他でもない、彼の声によって――。
「顔、赤いよ?」
 へらり、兄は締まりのない笑顔で指摘してきて。

「っ!!?」
 お兄ちゃんのバカ!! と叫んでネギ叩きの刑を執行してしまったのも、無理はないのだと思う。




 特別なのは兄の方が特別な意味を込めて呼んでいるからだったり。
 EとDは、ミとレです。分かりにくいけど、「ミクミクミク」の音が「ミレミレミレ」だってこと。
 天然なのか、腹黒なのか。どっちもなのかもしれない。天然腹黒……。
 へらりがニヤリととかだったら、間違いなく腹黒決定なんだけど。や、基本うちのKAITOは薄めの灰色です。

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