VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです
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Oshiruko sand
UTAU SNSで先に公開してたお話。
栄一とマスター。ほのぼのというか、コメディというか……やっぱりほのぼのでいいや(投げた)
マスター壊れ気味。栄一哀れ。な感じ、だと思います。
あくまでネタとして読んでください(笑)
「はぁ?」
栄一は間抜けな声をもらした。
『自称一般人』の、変わったところのあるマスター。
突拍子のない言動にも慣れていたつもりだったが、まだまだ甘かったようだ。
『しるこサンドが食いたいのにどこにもないんだ。
栄一、お前おしるこ好きならどこで売ってるかくらい分かるだろ』
どこか投げやりにマスターは決めつける。
マスターの思考回路が理解できない。支離滅裂だ。
「無茶言わないでください。
確かに付属設定ではそうなってますし、俺自身好きではありますけど」
音源に人格を持たせる付加プログラム。
それには初めから決まっている基本設定と、標準の声の高さなどをダウンロード主が選ぶ詳細設定と、さらに個人が比較的簡単に作れる付属設定とがある。
もちろん設定で決まっていても、それはあくまで目安でしかない。
VOCALOIDのように変質したりはしないが、マスターによって性格も変わってくるようだ。
『使えんヤツだな』
冗談だと分かっているから、傷つきはしない。……ある意味では本気だろうが。
マスターは本気できつい冗談を言うのだ。
「それに、売ってる店なら教えてもらったんじゃありませんでしたか?」
マスターにはネット上でUTAUユーザーの友人や知り合いがいるらしい。
しるこサンドという菓子があると知ったのも、その人たちからの情報なのだそうだ。
『ああ。候補に挙がってたとこで、回れる店舗は全部行ってみたさ。
遠出した際も百均やコンビニ巡りは欠かしてない。
それでも見つからないんだ!』
マスターの鬼気迫る声を聞いても、
「はぁ。縁がなかったんでしょう」
栄一にはそう言うことしかできなかった。
まず、そこまでしるこサンドに固執するわけが分からない。
おいしそうだとは栄一も思うが、近所に売ってなければあきらめるのが普通ではないだろうか。
「作ってるところで通信販売とかはないんですか?」
仕方がないからと話題に乗って尋ねると、
『ケース単位でのご購入となります』
マスターは急にかしこまって言った。
その内容だけで栄一は何となく経緯が分かってしまう。
きっと、もうとっくのとうに調べ済みだったのだ。
『だそうだぞ。
いくら甘党のオレでも食えるかってんだ』
ホームページの記述が気に入らなかったのか、文句をたれる。
製菓会社に罪はないだろうに。
代わりに栄一が心の中で謝っておいた。
『こちとら夢でまでしるこサンド探してたんだぞ。
もうそろそろあっちからやってきてもいいと思わないか?』
「思いません」
おかしすぎる見解をキッパリと否定する。
そんな夢まで見ていたのか。
マスターが変なのは性格だけでなく、脳の構造からしてだったらしい。
『大体、お汁粉なんてギャグ狙いとしか思えないもの好きなのがいけないんだ』
マスターは相当不機嫌らしく、見当違いな不満をこぼす。
お汁粉のどこら辺がギャグなのか、訊きたいこともあったが、ひとまずそれは後にする。
「全否定しないでくださいよ。
決めたのは俺じゃないですし」
しかも付属設定をプログインしたのはマスター自身だ。
自分の責任をただの音源に押しつけないでほしい。
愚痴をこぼすためだけに通信をつないだのだと、栄一はやっと理解する。
『ファブリーズよりはマシだとは思うが……やっぱりネタキャラだな』
ぶつぶつと呟きながら、彼の中で栄一のキャラは決定してしまったらしい。
また決めつけだ。マスターは偏見の塊な気がする。
確かにネタとして扱われることもあるけれど……それだけではないと、思っていたい。
『よし、次はお前のオリジナル曲しかないな。
しるこサンド奮闘記、とでも題するか』
「何に奮闘する気ですか」
あまりの馬鹿馬鹿しさにため息をつく。
マスターの思考は変な方向に飛ぶ。着地点はいつも不明だ。
出口のない迷路に迷い込んだような漠然な不安。
彼と話していると、たまにそんな感覚に襲われることがある。
『それとも替え歌が良いか?
しるこサンドが売ってない、とか。そのままだな』
会員制動画投稿サイトでも人気な曲だと、つけたタイトルで分かった。
本当に何なのだ。この異様なまでのしるこサンドへの執着心は。
ただ、分かるのは……マスターなら変な替え歌の一つや二つ、平気で作ってしまうということだ。
作詞や作曲の才能があるのかは比べる対象がないので分からない。
が、無駄なまでのやる気と根気は一級品だ。といつかユズだかが言っていた。
『どこに行ってもどこに行ってもしるこサンドが売ってないよ~。
あの~サクサクやってみたいのに物がない。
通信販売も調べてみたけどケース単位なんて食えるか!
だから次は絶対買うために、僕は小銭だけは財布に取っておく~。ってか?』
即興で替え歌を作ったことを褒めるべきか、一拍ほど考えて。
「やっぱりマスターは阿呆ですね」
呆れることに決めた栄一はそう告げて、一方的に通信を切った。
その後についたため息の深さは、本人だけしか知らない。
後日、腹いせに栄一が本当にネタ曲を歌わせられる羽目になったかどうかは。
とりあえず当人たちの名誉のために、秘密ということにしておこう。
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