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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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My name, Your favor

 タク×ウタ(デフォ子)で『名前を呼ぶ』ネタ。全カップリング制覇したいんだ!
 甘め、だと思われます。当社比で。






「ウタさんウタさん」

 タクの声が自分の名を呼ぶ。
 体が勝手に反応するのが分かる。0から1に、全身が波を打つ。



 My name Your favor




「何ですか?」
 ウタは振り返り、事務的に尋ねた。
 口調だけは変えられない。
 たとえ、呼んでもらえて嬉しいと思っていても。
「別に用事はないです」
 タクはにこりと笑って答える。
「ではどのような理由があって呼ぶのですか?」
「理由もないです」
 即答されて、ウタは眉をひそめた。
「……理解不能です」
 定義できない。情報が足りない。
 何を思ってタクがウタの名前を呼んだのか、分からない。

「呼びたいから、呼んだんです。
 理解しなくってもかまいませんよ」
 楽しそうな笑みを浮かべてタクは言う。
 からかっているような様子はないが、ウタはむっとした。
「説明を怠るべきではありません」
 いつもと変わらない仏頂面に、不満げな声。
 自分の感情が表に出てくるようになったことにも今では慣れた。
 初めて気づいた時には驚きもしたけれど。
 どこかで納得もしていた。
「ウタさんは可愛いなぁ」
 影響を与えた張本人は、のんびりと笑っている。
 不覚にも、動揺してしまった。
 顔には出さなかったが、鋭いタクはきっと気づいた。
「会話に脈絡がありません」
 冗談だったのか、本心だったのか。
 そんなことを気にしてしまう自分が、何だか変に思えて。
 自然と、口調はきつくなる。

「だから、ウタさんのことを呼んでいたいんです。
 ウタさんの存在を、確かめたい」
 タクの手が、ウタの冷たい手を包み込む。
 自分のものではないぬくもりに途惑ってしまう。
「確かめなくとも私はここにいます」
 タクの言っていることがいまいち掴めない。
 データを消されない限り、ウタはずっとUTAUのフォルダ内にいる。
 別の区域に行くことはほとんどなく、自分の居場所はここしかないと思っている。
「それは分かってますよ。分かってるから呼ぶんです」
 タクは言う。

「何度だって、繰り返し呼びたい。
 大切な人の名前ですから」

 はにかんだような笑みで、しっかりとした声で。
 伝えられる。伝わってくる。
 嘘ではないと、彼の穏やかなまなざしから、分かる。
 こういう気持ちを何と言うのだろうか。
 嬉しい。快い。満足感。それだけでは足りない。
 類語を調べようかと思って、やめた。
 言葉にならない。そんな曖昧なものでいい。
「……タクさん」
「はい、何ですか?」
 名前を呼べば、すぐに返事がある。
 なるほど、繰り返し呼びたいと思うのも頷けた。
「私も見習ってみようと思っただけです」
 さすがに気恥ずかしくて、ウタは顔を背ける。
 素直な思いを伝えることは、難しい。
 それでも怠るべきではないだろう。
 いつもどんな時でも、まっすぐ向けられている好意。
 少しでも応えることができればいい。
「それは、自惚れちゃってもいいんですか?」
 驚いたのか、タクは手を離す。
 離れたぬくもりに、ウタは寂しさを感じた。
「解釈はご自由に」
 平静を装って、答える。
「だったら、僕はウタさんにとって大切な人なんだって、勝手に思ってます」
 現金なタクは、喜色を浮かべた声で言う。
 顔を上げると、本当に嬉しそうな笑みをこぼしていた。

「ウタさん」
 慈しむような声が少女を呼ぶ。
「はい」
 微笑んで、返事をした。
 名前を呼ばれる。
 それだけのことが、特別になる。
 いつだってタクはウタに波を起こす動力だ。

「大好きです」
 にっこり、効果音がつきそうな表情でタクは告げる。
 花が咲いたような、と表現するのは男性型としては間違っているだろうが、本当にそんな笑顔。
 ウタは言葉の意味を瞬時に理解し、固まった。
「か、解析、できませんでした」
 動揺を隠すことが、うまくできない。
 熱が顔に集まっていく。きっと赤くなっていることだろう。
「心で受け取ってくださいよ、こういうのは」
 くすっと、からかうようにタクは笑う。
「了解しました」
 文句の一つでも言いたかったけれど、結局そう呟く。
 タクの毅然さを、タクの正直さを、ウタも見習うべきなのかもしれない。
「私も……」
 けれどそれ以上は言葉が続かない。
「やっぱり、何でもありません」
 タクみたいに言うことは、今の自分には無理だった。
 素直に伝えることは、やはり難しい。
 いつだってタクは波を立てる。
 その飛沫の一つ一つに、ウタは影響を受ける。

「告白ならいつでも受け付けてますよ」
 タクがそう優しく言ったから。
 ウタはいつか、この想いを言葉にして伝えようと決めた。





 △タクのタラシレベルが5アップした!
 ▲タクはタラシマスターになった!
 ……なんて冗談を言いたくなるくらい、タクがどんどんキザになっていく気がします。
 押せ押せGOGO!! なわけですね、はい。
 どうでもいいことだけど、ウタを書くようになってから歌の誤変換をたまにするようになりました。
 同じことがソラサラやコトやシン、モンにも言えますが、ついぷっと笑ってしまいます(笑)

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