VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです
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I love you
お久しぶりな気がするヒビルナです。
ネタの流用ってキャラ性が際立つっていうか、キャラを書き分けるのの参考にちょうど良いですね。
「あのね? ヒビキ」
「ん?」
おずおずと声をかけると、ヒビキは落ち葉をはいていた手を止め、振り返る。
いつもは掃除しながら話を聞くヒビキだから、こちらを向いてくれたことは嬉しいけれど、今は逆だ。
「~~っ、や、やっぱ何でもない!」
彼の視線を受け止められず、ルナはぎゅっと目をつぶって下を向く。
じーっと、見られている気がする。
「そうは見えないんだけど……」
ヒビキのため息が聞こえる。
呆れられてしまっただろうか?
挙動不審なのは自覚済み。
絶対、変に思われた。
「今日のルナはずっとそんな調子だな。
何かあった?」
心配そうな、優しい声。
大丈夫だよって言って、飛びつきたい。
でも、全然大丈夫なんかじゃない。
今日は頭がパンクしそうなくらい、たくさんたくさん考えた。
それでもどうしていいか分からないまま、ここまで来てしまったのだ。
「何でもないったら何でもないの!
そういうことにしといて!」
ヤケになって、ルナは怒鳴るように言い放った。
反応が怖くて顔が上げられない。
嫌われたらどうしよう。そんなことが頭をかすめる。
それでも態度を変えることは、不器用なルナにはできなかった。
「……ふ~ん、ルナがそういう態度取るんだったら」
低い、面白くなさそうな声。
いつも穏やかな青年らしくない空気を感じて、ルナはビクビクしながら彼を見る。
「ひ、ヒビキ?」
思わず間抜けな声が出た。
ヒビキは、まるでルナの存在なんてないかのように掃除をしていた。
話を聞きながらのときとはまったく違う雰囲気。
突き放されているような感覚さえする。
「ちょっ、やだ、返事してよ! ヒビキ!?」
声をかけても、名前を呼んでも、無反応。
怖い。嫌だ。
こんな冷たいヒビキは知らない。
『ルナが話すまで、俺も話さない』
泣きそうになっていたルナに届いた、ノイズ混じりの声。
それはさらに少女に追い打ちをかけるだけだ。
「目の前にいるのに、なんで内部通信なんて使うの!?
ヒビキッ! ヒ~ビ~キ~!!」
UTAU同士をつなぐ内部通信は、主に急用があるときの連絡手段として使う。
こんな、近距離で使う必要なんて、ないのに。
話さなかった内容なんて、本当にどうでもいいことなのに。
「分かった、分かったから!
話す話す話します! だから無視しないで~!!」
ルナはとうとう観念した。
このままずっと話せないのと、“ある言葉”を言うこと。
天秤にかけたらどちらにかたむくかなんて、考えるまでもない。
「じゃあ、話してよ」
ヒビキはまだ掃除を続けている。
けれどまとう空気は少し優しくなった気がする。
それだけで、涙が出そうなほど嬉しい。
「今から言うの、罰ゲームなの。
だから気にしないでね!」
ヒビキの背中に、それだけでは意味不明な言葉を投げかけた。
何を言っているのか、通じることは分かっている。
罰ゲームありのトランプゲームをしたのは、ついさっきだ。
ヒビキとルナは別の組で、ヒビキは何事もなくゲームを終えたらしい。
そのままここに来て、日課をこなしていたのだろう。
ルナはその間ず~っと、サユに言い渡された罰ゲームのことで悩んでいた。
あの言葉を、どんな顔をして言えばいいのか。
「ヒビキのこと、大好き」
ぼそっと、UTAUじゃなければ聞き取れないくらい小さく呟く。
顔に熱が集まっていくのを感じる。
ヒビキは動きを止め、振り返る。目を丸くしていた。
「……罰ゲームじゃなくても、いっつも言ってるじゃん」
その通りだけれど。
「改めて言うのは恥ずかしいの~!」
意識して言ったことなんてなかった。いつも自然と口をついて出てきていた。
ここに来るまで何度もシミュレーションして、それでもうまく言える気がしなくて。
どうやって毎回言っていたのか急に分からなくなって。
ヒビキのことが好きなのは当たり前のことなのに、どうしてそうなってしまうのか考えもつかなくて。
混乱していっぱいいっぱいになってしまったのだ。
「俺も、ルナのこと好きだよ」
彼はやわらかく笑んで、そう告げる。
ルナは思わず硬直してしまった。
いつも見てるはずの顔。でも全然知らない人みたいな、表情。
胸がうるさいくらいに高鳴る。
「ね、もう一回言って?」
ヒビキの嬉しそうな声がルナの耳の奥で木霊する。
それはとても甘い響きを伴って、彼女の心にストンッと届いた。
どうしてなかなか『好き』って言えなかったのか、今も分からないけれど。
ただ、このドキドキは、ヒビキにしか感じないんだろうということは、分かった。
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