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あかいいろ
あけましておめでとうございます。……一月の終わりに何を言ってるんだって感じですね、お久しぶりです。
パソコンがご臨終したり、復旧してもらったデータはまだ戻ってきてなかったりな、ぼろぼろの年末年始だったりします(笑)
英語苦手なのにタイトル英文縛りとか無理がありすぎたので、解禁(?)することにしました。
渦音ヒトさんと櫻歌ミコちゃん。……ほのぼの? カップリング未満です。
すっ、とかすかな音が混じった。
ミコの三歩前に、青い影。
「櫻歌ミコにゃん」
ミコの名を呼ぶ声。
静かで、抑揚のない音。
その音の持ち主を、ミコはじーっと見つめた。
青い髪。青い服。こうもり羽のヘッドホン。
知らない人。
知らないけれど――“仲間”だ。
同じにおいがするから。
ミコはここに来たばかりで。ここにはたくさんの“仲間”がいて。
まだ会ったことのない人もたくさんいる。
この人は、きっとその中の一人なんだろう。
「にゃあに?」
ミコはにっこり笑った。
仲間なら、悪い人のはずがない。
仲間なら、みんなお友だち。
そのお友だちが、ミコに話しかけてきてくれた。
ミコはこの青い人と仲良くなりたくなった。
にこにこ、ミコが笑っていると。
青い人は二歩、距離をつめる。
伸ばされた白い手が、ミコの頭の上で数拍ためらうように動きを止め。
そっと、ミコのフードを外した。
ミコは首をかしげる。
あらわになった耳をぴくぴくと動かしてみる。
青い人は何がしたいんだろう?
「ミコにゃん」
また、名前を呼ばれた。
さっきよりも、やさしい音。
どこか、悲しそうにも聞こえて、ミコも少し悲しくなる。
「にゃあに?」
ミコは青い人を見上げる。
暗い青色の中、二つの、赤。
深く、鋭く、毒々しいほどの色。
まるで……。
吸い寄せられるように手を伸ばした。頬に触れる。冷たい。
鮮やかな赤みは、おいしそうで。
「きれい」
青い人は顔をゆがめた。
悲しそうに。苦しそうに。
どうしてそんなにつらそうなのか、ミコには分からない。
きれいだと思ったから、きれいって言ったのに。
青い人は赤が嫌いなんだろうか。
ミコは、好きなのに。
とても大好きな色なのに。
「まぐろみたいにゃん」
青い人は目を丸くした。
眩しい赤が大きくなって、もっときれいだ。
「……まぐろ……ですか」
小さく呟いて、青い人はいきなり声を上げて笑い出した。
今度はミコが目を丸くする番だった。
静かで、やさしい音の青い人が、明るく笑っている。
でも、悲しそうでいるより、何倍もいい。
嬉しくなって、ミコも一緒に笑った。
青い人の笑顔も、とってもきれいだと思った。
「貴女は、猫ですね」
笑いの収まった青い人は、そう言って息をつく。
赤い瞳は穏やかな色を宿している。
「にゃんこ?」
ミコは聞き返してみる。
どうしてにゃんこなのか。何かを心配していたのか。
そもそも青い人は、ミコに何の用事があったのか。
ミコにはどれもよく分からない。
「はい、にゃんこです」
青い人はやわらかく微笑んで、ミコの頭をなでた。
宝物にさわるように、やさしい手。
冷たいのに、あたたかい。
焼きまぐろを頬ばったときみたいに、ほかほかする。
にゃんこ、な気がした。
青い人がにゃんこって言うなら、たぶんにゃんこなんだ。
「にゃんにゃん♪」
ミコは笑顔で鳴いた。
とってもきれいで、まぐろみたいにおいしそうで、あたたかい青い人。
青い人が笑ってくれるなら、にゃんこがいい。
何も知らずに、何も気づかずに。
ただまっすぐに、ミコは自分を『にゃんこ』と信じられた。
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