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しあわせの音

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4・君が好きだと言ったから

『愛しい君と過ごす日々で50のお題』 4・君が好きだと言ったから(KAITO×初音ミク)

配布元:原生地






 君が好きだと言ったものは、僕も好きになれる。
 理由は簡単。
 君が好きだと言ったから。
 それだけで、僕にとっては充分なんだ。



だと から




 声は音になり、音は歌になる。
 囁くような小さな歌声。
 それでも扉の向こうで聴いている少女には聞こえる大きさ。

 ふう、と息をついて、KAITOは歌い終えた。
 次に歌うことになっている、カバー曲だ。
 それから振り返り、わずかに開いている扉に目を留める。
 KAITOは足音を消してその目の前まで歩いていき、そっとドアノブを引く。
「ミク」
 戸に背を預けていたミクは、体勢を崩しながらも、KAITOを見上げる。
「えへへ、気づいてたんだ」
 バツが悪そうに笑って、ミクは立ち上がる。
 パンパンとほこりを払うような仕草をした後、KAITOにもう一度笑いかける。
「別に遠慮しないで声をかけてくれてよかったのに。
 練習って言うほどのものでもなかったんだし」
 リビングに戻って椅子に座り、持っていた楽譜をテーブルに置く。
 かまってほしかったんだと、その表情から何となく分かった。
 歌っている途中で話しかけられたって、邪魔をしただなんて思わない。
 ましてやそれがミクなら、なおさらだ。
「そうじゃなくって、私がお兄ちゃんの歌を聞いてたかったの」
 ミクもKAITOの隣に座り、訂正する。

「だってお兄ちゃんの声、好きなんだもん」

 当たり前のことのように、自然にミクは言った。
 とくんと、鼓動を打つ音がする。
 偽りの心臓が、人を模っした胸の内が、早鐘のように響いて。
 隣にいる少女に聞こえていないか、心配になった。
「嬉しいな。ミクにそう言ってもらえて」
 平静を装って、KAITOは微笑みを浮かべる。
 誰に言われるより、ミクにそう思っていてもらえていたことが嬉しい。
 ミクの『好き』に深い意味がないと知っていても。
「だって、綺麗で、澄んでて、儚げで、でも力強くて。
 こんな声、お兄ちゃん以外に知らないよ」
「べた褒めだね」
 さすがに言いすぎだと、苦笑をこぼした。
 どうやら自分は美化されているようだ。
 良い兄として通っているのだから、それも当然だろうか。
「うん。だって好きだから」
 ミクは簡単に好きと言う。ネギが好き、と言うのと同じように。
 頬が緩むのを止められない。
 これ以上は、半端ない平常心を求められる。
 思わずため息をつきたくなった。

「じゃあ、もっと好きになってもらえるよう、がんばろうかな」
 軽口を叩くように、明るい調子で言った。
 自分は“お兄ちゃん”だから、それらしく振舞わなくてはならない。
「これ以上、上なんてないよ」
 本当に嬉しいことを言ってくれる。
 そこに深い思いは込められていなくても。
 ミクが好きだと、一番だと言ってくれるだけで、それは特別になる。
 KAITOにとっても大切なものになる。
「やってみないとどうかわからないだろう?」
「お兄ちゃんが想像できないくらい、大っ好きなんだからね」
 両手を広げて、大きさを表すように円を描く。
 子どものような仕草が可愛らしい。
「分かってる」
 KAITOはそう、柔らかな笑顔で頷いた。



 君が好きだと言ったものは、僕も好きになれる。
 理由は簡単。
 君が好きだと言ったから。
 それだけで、僕にとっては充分で。
 君が僕の声が好きだと言うのなら、僕も自分の声を好きになれる。
 そして、もっともっと好きになってもらえるようにと、努力をしたくなる。
 すべて君のおかげなんだ。

 君が、君が好きだと言ってくれたことが、僕の原動力になるんだ。





 カイミクはKAITO兄さんがミクを溺愛してるくらいでいいと思う。本気で。
 ミクはお兄ちゃんとして好きで、でもそれだけじゃないような気もするんだけど、よく分かんない、くらいでいい。
 報われてるような報われてないようなカイミクが好きです。
 あ、でも『お兄ちゃん好き好き!!』なミクも好きなので、ちゃんと書いてみたいですね。
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