VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです
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Toy
個人的ヒットな星歌ユズくんです。腹黒ドSがうまく書けません!
ソラに憧れてたらいい。仲が良い人と玩具扱いな人がいれば良い。
ユズ→ソラ(非カプ)・若干というかほとんどないけど、星歌ユズ×楓歌コト風味。
「どっこにいるかな~」
もはや日課になっていると言ってもおかしくはない。
暇さえあれば、共に過ごそうとしていた。
道と呼べないような、エリア同士をつなぐ電子回路を、きょろきょろと見回す。
部屋にもリビングにもいなかった。
大体の場所は内部回線で確認ができるから、その近くまで来ている。
と、目当ての人物がリラクゼーション区域の方向からやってきた。
「ソラさーん」
嬉しくなって、ユズは駆け出す。
声をかけられたソラは、今気づいたとばかりに目を丸くする。
「ユズ君。どうかしました?」
「一緒に歌いませんか?
新しい楽譜、見つけたんです」
手に持っていた楽譜を見せるように前に出す。
歌うために作られたユズたちは無条件で歌が好きだ。
VOCALOIDの曲に限らず、気に入ったものは楽譜が欲しくなるし、そのために無償で公開しているサイトも数多くある。
「いいでーー」
快く頷こうとしたソラが、いきなり体勢を崩す。
何かと思えば、彼の姉のサラが突進してきたのだった。
「だぁめ! ソラはあたしと歌うの!」
ソラの腰に腕を巻きつけ、サラは主張する。
「サラさん。じゃあ三人ではどうですか?」
「ムリムリムリ!」
「姉さん……」
ユズが提案しても、サラはかたくなに首を横に振る。
ソラが困ったような声をもらす。
「すみません、ユズ君。
姉さんが癇癪起こすと止まらないから」
苦笑して、その必要のないソラの方が謝る。
「ソラさんも大変ですね」
いたわるようにユズは言う。
ソラも結局はサラに甘いのだ。
何だか面白くなくて、心の内で舌打ちをする。
もちろん表面上はにこやかなままで。
「さっさと行こーよ、ソラ!」
「はいはい、そんなに引っ張らないください」
ぐいぐいとサラに引かれ、敬愛するソラは去っていってしまった。
後に残されたのユズは、つまらない。
「……まったく。せっかく妥協してやったのに」
一人になったユズはボソッと呟く。
何だかんだとソラに張りつくサラは、ユズのライバルで天敵だった。
ただ一緒にいたいだけなのに。
歌を歌いあったり、話をして笑い合ったり。
どこに邪魔をされるいわれがあるというのか。
「だだもれてるよ、ユズ」
誰も訊いていないと思っていたのに、声がした。
「コト」
振り返るとそこには、一人の少女が仁王立ちをしていた。
いかにも気が強そうな釣り目に、橙の長い髪。
楓音コトだ。
「年下の癖に呼び捨てなんて、礼儀がなってない!」
皺になるんじゃないかというほど眉をしかめ、コトは怒鳴る。
「年齢ですべてが計れるわけじゃないでしょう。
それとも年が上だというだけで自分が偉いとでも?」
しかもただ単にそう設定されているだけで、実際にその年月を生きているわけではない。
作られた順なら自分の方が先だ。
コトもそのことを分かっているからか、顔をむくれさせた。
「相っ変わらず性格悪いっ!」
直情的なコトは、感情論が先立つ。
はっきりとした罵倒は、いっそ心地がいい。
「これがぼくですから」
意地が悪かろうが付き合いづらかろうが、変わろうという気はない。
この性格は嫌いではなかった。
世渡り上手になる必要性も、特には感じない。
自分の好きな人にだけ、いい顔をして、仲良くできればいい。
現状にユズは満足していた。
「その捻じ曲がった根性、叩き直してやりたいわ」
コトは腕を組んで暴言をはく。
「粗暴ですね」
それにユズは笑顔のままで言い返した。
少女の表情がゆがむ。
「ソラに対してはあんなに媚売ってんのに、何この違い」
「尊敬する方と失礼な人を同列に扱うわけないじゃないですか」
なんでも無遠慮に物を言うコトは、はっきり言ってやかましい。
それに比べ、音源主の影響か、ソラへの親しみの情は深く根付いていた。
本来ならサラにも同様の思いを抱くはずなのだが、なぜかそうはならなかった。
ソラ至上主義、といっても過言ではない。
「もー、あったま来る!
じゃあね!!」
分が悪いと悟ったのだろう。コトは身をひるがえす。
言いたいことだけ言って去るとは、なんと自分勝手な。
もっとも、言い負かされたようなものだから、気が晴れたりはしなかっただろうけれど。
「機嫌が悪いのは結構ですが、周りに当たって迷惑をかけないように」
さらに苛立ちをあおるような忠告をする。
くすくすと、笑い声も付け足して。
「心配ご無用!!」
そう叫んで、コトはリラクゼーション区域の方に走って行った。
気を紛らわせにでも行くのだろうか。
確か彼女は風の区と秋の区が好きだったはずだ。
普通なら知りえない情報を、ユズは笑みを浮かべながら思い出す。
人物観察もユズにとっては退屈しのぎの、遊びの一つ。
「あの人も面白いよな。
わざわざ突っかかってくる必要なんてないのに」
なびく橙の髪が見えなくなってから、ユズはポツリとこぼす。
たとえ近くにいようと、無視することだってできた。
交流を持とうとしなければ。
それでも話しかけてきたのは、単なる気まぐれか、聞き捨てならなかったからか。
どちらでもユズはかまわなかった。
「面白い玩具があるのは、いいことだね」
にやりと、誰かが見たら意地の悪いと称するだろう笑み。
無限にある時間の過ごし方は、いくらでもある。
玩具の一つや二つは、あった方が退屈しない。
ユズは上機嫌に鼻歌を歌いながらUTAU共有スペースへと戻っていった。
不幸にもそれを目撃してしまった栄一は、恐ろしさに身震いしたと言う。
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