VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです
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Mutual infatuation
カップリング未満のような、でもそれなりに糖度のある、リンレン。
UTAU創作がリンレンを抜いてしまったので、申し訳なくなりました。
これからどっちが多くなるのかは……分かりませぬ。
「レン、聞いて聞いて!
リンたちにピッタリの言葉があるの!!」
自分とよく似た声が聞こえると共に、背中に衝撃が加わる。
犯人が分かっていたから、彼は振り返らずに「はいはい」と返事をした。
「聞くから、一々つっこんでくんのやめろよ」
ため息をついて読んでいた本を閉じる。
マスターに買ってもらった娯楽用のもので、別に今すぐ読まなければならないものでもない。
何よりレンにとって、リンより優先されるものなどあるはずがないのだ。
「えへへ~♪」
ぐりぐりとリボンにしわが付くのもかまわず、背中に頭を擦りつけてくる。
自分よりも少しだけ柔らかな髪が少年の首の裏をくすぐった。
「故障しても知らねぇぞ?」
照れ隠しに少女が嫌がりそうなことを口にする。
言わずもなが、レンの方が、だ。
実体化している時はデータが破損する確率が少し高まるらしい。
電子の世界よりもリアルを好むリンとレンに、マスターが注意してくれたことがあった。
忘れることを知らないVOCALOIDだから、彼女も当然覚えているだろう。
「そ……それは嫌、だ」
首に回っていた腕が離される。
もう少し、くっつかれていても良かった、と思ってしまったことは内緒だ。
「なら今度から気をつけろよな」
「がんばる!」
握りこぶしを作るリンを見て、きっと無理なんだろうなと頭の片隅で思った。
やる気と結果が比例しないのがこの脳みそ空っぽ怪力少女だ。
「んで、オレたちにピッタリの言葉って?」
話をスムーズに進めるために、レンの方から問いかける。
リンは瞳を輝かせて少年に抱きついてきた。
強い衝撃がない代わりに、自分と作りの違う柔らかな体がピタリと張りつく。
花のような甘い芳香がした……ような気がした。
「あのね、あのね。すごいんだよ!
リンたちのためにあるような言葉なのっ!
音も意味も、全部!!」
「前置き長い」
放っておいたら延々と続きそうなおしゃべりを、ばっさりと切る。
ついでに体を離して、少し距離を取った。
こうでもしなければ中々本題にたどり着かないのだ。
「えとね、『レンリノエダ』って言うの」
レンリノエダ。れんりのえだ。頭に手を当て検索してみる。
連理の枝。二本の樹木の枝、もしくは一本の樹木の一旦分かれた枝が癒着し結合したもの。
語源は白居易の『長恨歌』の一節、【天に在りては願わくは比翼の鳥となり、地に在りては願わくは連理の枝とならん】から。
言葉の意味を理解すると、レンは仏頂面を作った。
そして、今度は言葉の音を確認しやっと意図が分かり、ため息をつく。
「……上から読んでも下から読んでも、か?」
じと、と少女を見やるが、リンは視線に含まれた呆れには気づかず、両手を打ち合わせた。
「さっすがレン! よく分かってる~♪」
レンリノエダ。レンリ。逆さにするとリンレ。
一つの言葉に二人の名前が隠れている。
二つで、ひとつ。
同じ音声データで作られた彼らは、ソフトとしても一緒に入っている。
旧式のMEIKOとKAITOも対となるように調節されていたようだが、二人はその比ではない。
けれど……。
「お前、ちゃんとした意味知ってて言ってんのか?」
念のため、レンは訊いてみた。答えは分かっているけれど。
そしてその答えがおかしいものであることも。
でなければ、こんな風にリンが笑顔で言ってくるはずがないのだから。
……悲しいけれど、その辺は自身が一番よく理解していた。
「知ってるもん! すんごい仲良しなことでしょ」
間違ってはいない。けれど、肝心な要素が抜けている。
その言葉が、夫婦や、愛し合う男女に適応される、ということ。
「ずっと一緒なんだよ。
一緒にいないと、意味がないんだよ?」
すごいでしょ。と心の底から笑っているリンには、本当の意味は言えない。
レンは赤くなっているだろう頬を隠すように、テーブルに突っ伏した。
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