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Bonds of rope
前の双子の糸のお話の、レン視点です。例によってリンは出てきません(笑)
カイミク前提っぽく、リンレン未満のような、んでもってちょっと暗め。
マスターが新しく作った曲の出だしの詞。
それに、リンが惹かれるものがあったとレンは知っている。
根底でつながっているトコロが、教えてくれた。
どう歌おうか、迷っていると。
糸は何色をしているのだろうか?
何色をしていてほしいのだろうか?
歌詞にある《あなたの色》はどんなものなのか?
流れ込んでくるたくさんの疑問が、レンまで無理やりに思考の渦に引き込んだ。
リンが持っていた楽譜をコピーしたものを見つめる。
考えて分かるようなことではない。
こういう解釈は、気持ちの問題なのだから。
「兄貴なら、何色だと思う?」
むしゃくしゃした心をそのままにしておきたくはなくて、八つ当たりのように尋ねる。
同じように楽譜を見ていたKAITOは、困ったような表情で顔を上げた。
「レン。分かってて訊いてるだろう」
彼はわざとらしく一つため息をついた。
一応、バレバレだという自覚はあるらしい。
「そりゃあね」
分かってて訊いているから、八つ当たりになるのだ。
青年はきっと、《翡翠色》と答えるだろう。
なぜかミクの色を表すときは、その鉱物の名前を使う。
どんなこだわりがあるのかは知らないけれど、特別な意味を持っているのだけは分かる。
つまりそれだけ彼女のことも特別だということで。
KAITOがミクに抱いているものが、親愛以上のものだということだ。
「色っていうかさ、そもそもなんで糸の必要があるんだ?」
リンが持ったものとはまったく違う視点の、疑問を口にする。
少年には納得ができなかった。
細くて、強度のない、すぐに切れてしまうような糸。
そんな絆なんて、危なっかしくて仕方がない。
もっと確かなつながりを表せるような言葉ではいけないのだろうか。
「他に適切なたとえもないからじゃないかな。
それともレンは何か、案でもあるの?」
KAITOの問いかけに、レンは頬杖をつきながら考える。
欲しいのは、確かな結びつきだ。
決して解けないような、強く深い絆。
「縄、とか?」
「……ずいぶん強力な絆だね」
思いついたままを言葉にすると、呆れたような返答。
そんなにおかしくもないと思うのだけれど。
「簡単に切れなさそうで、いいじゃん」
重要なのは、そこだ。
切りたくても切れないような、縁。
「縄だと、つなぐと言うより縛るって感じだからね。
レンはリンを縛りたいの?」
困った弟だと、KAITOの目は言っていた。
彼は分かっていたのだ。
レンが強くつながっていたい者が、誰なのか。
「それでほどけないんだったら、ね」
ため息混じりに、呟く。
縛りつけようとして、大人しく縛られるような存在ではなかった。
風のように、自由で。掴みどころのない、彼女。
いつか必要とされなくなることが、怖かった。
きっと、青年が恐れているのと同じように、レンも。
それは少年の場合は、存在理由の消失ですらあるのだから。
リンのために、リンが生んだ半身。
少女が一人で平気だと、レンがいなくても大丈夫だと、言ってしまえば。
存在している理由が、意義が。なくなってしまう。
「不安になるほど、弱い絆なんかじゃないよ、君たちは」
大きな手のひらが、頭の上に降ってきた。
少年を安心させるように、優しい体温がなでる。
「ならいいけど」
どうなんだろうね、と。
自嘲気味な笑みを浮かべ、兄の手を払った。
糸なんて、何色でもいい。
確かなつながりがあるなら、すがってみたかった。
細い糸よりも強く、絶対に解けないような、そんなものに――
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