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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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Thunder

雷3つめ。意地悪KAITOと大人しいミク。親密度は低め。
後で性格設定にも追加しときます。






 静かな静かな音楽が流れる。
 それを一つもこぼさないように、少女は瞳を伏せ、聴覚以外の情報受信機能を経つ。
 天然の演奏会は繊細で優しい音色を響かせる。
 時折、加わる低音が面白いアクセントになっていた。



Thunder




「何やってるの? ミク」
 冷たいバステナが降りそそぐ。
 邪魔をされたような、微妙な思いになりながらも、感覚を戻す。
 視界に映ったのは訝しげに首をかしげた青年型VOCALOID。
「KAITOさん……」
 気をそがれたミクは責めるように男の名を呼ぶ。
 彼はそれを笑みで軽く流し、薄暗い窓の外に目をやった。

「雨の音、か。相変わらずミクはロマンチストだね」
 からかいを含んだ声音に眉をひそめる。
 一般的な“KAITO”と違う彼の意地の悪さに、いまだに慣れない。
 マスターの知人が所有している同型の青年は優しかったから、余計に。
「別に、いいじゃないですか。
 KAITOさんには関係ありません」
 ふいっと、顔を背ける。
 自分も他の“初音ミク”と比べたら、ずいぶんと可愛げがないものだけれど。
 もう少し“兄”らしくしてほしいと思うのは、わがままだろうか。
 そう言えばきっと、「血なんて繋がってないじゃないか」とまた笑われるのだろう。
 簡単に想像がついてしまって、少女はため息をつく。

「一緒に歌うなら、相手のことは少しでも知っていた方がいいだろ?」
「それは……そうですけど」
 正論に、自然と語尾は弱まる。
 ミクはそれほど話し上手ではない。マスターが喋るために、ずっと聞き役だったからだ。
 だからいつも、言葉でKAITOに勝つことはできない。
 いや、言葉以外でも勝てるものなどない。
 歌だって、同じマスターの元にいる以上は同列だろう。
 ……いくら自分の方が先に買われ、歌わせてもらっていたとしても。

 黙ったまま、窓の外を見やる。
 先ほどまで聞き入っていた雨と雷の旋律は、さらに弱まっていた。
 もうそろそろやんでしまうと思うと、寂しくなる。
 晴れた日の葉擦れの音も、小鳥のさえずりも、もちろん好きだけれど。
 静かであり大胆でもある雨の日の音楽は、特にお気に入りなのだ。
 優しい音色は子守唄のように、穏やかな心地にさせるから。

「不思議ですね」
 ぽつりと、何とはなしに思った。
「何が?」
 問いが返ってきて初めて、声に出していたことに気づく。
 あわてて口をふさいでみても、発してしまった言葉は戻ってこない。
 彼は無言で先を促してくる。
 これは話すまで諦めないだろう。青年のしつこさは身にしみて知っていた。
「雨や、雷の音が。とっても綺麗です。
 どんなに上手に合成された音でも、生音には敵わない。
 ただそこに在るだけなのに、不思議です」
 何を言っているんだと、馬鹿にされなければいいと思う。
 歌を、音を紡ぐVOCALOIDであるのだから、少しでも共感してほしいと思う。
 世界はこんなにも楽器であふれているのだと。
「作られた音も、それはそれで魅力的だと思うけど」
 真面目に聞く気がないのか、KAITOは茶化す。
「分かっています。そういうことではありません」
 不機嫌になった少女に、わけが分からないという表情をする。
 伝わらないのなら、それは仕方がないことだ。
 けれどもやはり、悲しいし、寂しい。
「まあ、何度でも繰り返せる音と、一瞬しか聞けない音じゃ、重みが違うんじゃない?」
 大して考えていなさそうな答えに落胆を覚える。
 いつだって真剣になることなどなかったのだから、この男は。
 笑い飛ばされるよりはましか、と諦めにも近い思いでごまかした。

 それより、とKAITOは話の腰を折る。
「雷、怖くないんだ」
 VOCALOIDにとって雷は脅威になりえない。
 知っているだろうに、彼は面白そうに尋ねてきた。
「怖がる理由も必要もありませんから」
 透明な硝子に手を当て、答える。
 窓を閉めたままでは音が聞き取れないほど、小雨になってきていた。
 これならマスターが帰ってくる頃には晴れているかもしれない。
 念のためと折りたたみ傘を持っていってはいたけれど、少しも濡れてほしくはなかった。
 だから、少し淋しくても、嬉しいことだ。
「そう。残念だな」
「からかえないからですか?」
 引っかかりのある言葉にむっとして、KAITOをにらむ。

「たまには、“優しいお兄ちゃん”をしてみようかと思ったんだけど」
 そう微笑んだ青年は一瞬だけ、妹思いの兄の顔をしていた。
 “兄”らしく、という先ほどの考えを読まれたようで、目を丸くしてしまう。
 エンジンが違うのだから、筒抜けであるわけがない。
 分かっていても、心の中を覗かれたような気が、たまにする。
 そのたび少女は恥ずかしくなるのだ。
 子どもじみた感情は、いつも必死に隠しているから。
「慣れないことはしていただかなくて結構です」
 何だか落ち着かなくて、ミクはまた窓の外に視線をそらした。
「冷たいなぁ、ミクは」
 くすくすと笑う男の考えていることが分からない。
 妙に少女に付きまとって、嫌味を言ったかと思えば急に優しくなったりして。
 それにまんまと振り回されている自分は、もっとよく分からない。

「“優しいお兄ちゃん”としましては」

 普段よりも落ち着いた声音。
 真似事でしかないと理解していても、ないはずの心臓が跳ねる。
 これではまるで、恋をしているみたいだ。
「可愛い妹の疑問をすべて解決してあげるべきなんだろうけど。
 生憎と、僕も答えなんて持ってないからね」
 自然の音が不思議だと言ったことについてだろう。
 一応は真剣に考えていたのか、と軽く驚く。
 いつも実のないような態度しか見せていなかったから、深く捉えるとは思っていなかった。
 決して、VOCALOIDとしての彼を軽んじていたわけではないけれど。
 ……いや、どこかで自分とは違うのだと一線は引いていたかもしれない。
 喜びを感じながらも、それを素直に表せるはずもなく。

「初めから期待はしていません」
 きっぱりと言い放てば、
「残念」
 そう、青年は意地悪げに瞳を細めてささやいた。





 書いてて面白いけど、確実にHPが削られる二人だ……。
 ちなみにこのKAITOは「好きな子ほどいじめたくなる」悪ガキタイプ。
 そのくせSに見せかけたMだと思われます。
 ミクに怒られるのが好きなんですよ。だからわざと不真面目を装ってるんですよ。
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