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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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みくちゃんとおよめさん

 幼児ミクと青年KAITOアナザーストーリーその2。レン視点でやっぱりミクはそんなに出てきません。
 ミクの外見・精神年齢は12歳くらいかな。にしては幼いけど。一人称がカタカナになってます。
 これでこの設定での“幼児”ミクはもうおしまいだと思います。うん、たぶん。






 それは見慣れた光景で、当たり前の光景で。
 けれどたまに、うんざりする。






「兄貴は限度ってのを知らないよなー」
 ポツリとそうこぼしたのも、そんな時だった。
「いきなりなんだい?」
 不思議そうにこちらを見るKAITOを睨むように見る。
 頬杖をついて、ため息を一つ。
「ミクの甘やかしっぷり。
 あれじゃずっとあのまんまかもよ」
 一つの心配事でもある、ミクのこと。
 リンとレンが買われた家にはVOCALOIDがすでに三体揃っていた。
 その内、同じエンジンを搭載している初音ミクは、少し変わっていた。
 幼児化していたのだ。
 変質することは珍しくないけれど、ここまで見事に変わっているとさすがに驚いた。
 マスターが猫かわいがりし、他のVOCALOIDたちも溺愛している。
 異常だ。と最初は思ったものだ。
 ここ一月でずいぶんと慣れさせられたものだけれど。
 それでもこのままでいいのかと疑問はわく。

「ミクが望んでるなら、僕は別に構わないと思ってるんだけど」
 のほほんとした表情で、KAITOは言う。
 現状に不満も不安もないようだ。
 ミクは、買われた時と比べると大きくなっているのだと言う。
 人がそうであるように、人より速く、“成長”していると。
 ここに来たばかりのレンには実感はないけれど。
「だーかーらー、それが甘いんだって」
 はあ、とまたため息をつく。
 皆がミクに甘い。
 マスターも、KAITOもMEIKOも、リンまでが可愛いとはしゃいでいる。
 このままがいい。と、ミクが思ってしまったらどうするのだろう?
 VOCALOIDの変質は、本人が『こうなりたい』と強く思うことによってなる。というのが定説だ。
 マスターの影響を受けやすいのも、『マスターの望む姿に』と思うからだとか。
 確証はなくても、警戒するに越したことはないのに。
「そう言われてもなぁ」
 KAITOはあまり乗り気ではないようだ。
 当然だ。愛しのミクに無理を強いるようなことをしたくはないだろうから。
 彼女に一番甘いのは、間違いなくこの兄だ。
 数え上げるのもキリがないほど、ずいぶんと見てきた。
 癇癪を起こしたミクをなだめる光景も。どこかに一人で行ってしまったミクを探す姿も。駆け回るミクを見守る穏やかな瞳も。
 悪いことではないのかもしれない。
 これも一つの在り方なのかもしれない。
 と自分を納得させようとしても、納得できないのも確かで。

「オレたちはVOCALOIDだ。
 兄弟だろうと立場は同じで、対等なんだ」
 姉だと、兄だと慕っていても、ライバルであることは変わらない。
 リンは別格だけれど、本来ならミクもそうであるべきなのだ。
 今の状況は、どう見てもかけ離れていた。
「レンの言いたいことも分かるけど、そんな難しく考えなくても大丈夫だよ」
 相変わらず気の抜けるようなのんびりとした口調で、けれど真剣だと分かる声音で。
 KAITOはレンの頭を二度なでてから、口を開く。
「人が子どもから大人になっていくように、VOCALOIDだって成長するんだ。
 うちのミクはそれが顕著なだけなんじゃないかな」
 ほんわりと、安心させるような笑みを浮かべて。
 どこか幼くも見える表情に、毒気を抜かれる。
 レンも分かっている。時が解決してくれる問題なのだということは。
 多くを求めてはいけなくて。今はどんと構えているしかなくて。
 ――本当は、対等なライバルが欲しかった、なんて。
 決して言ってはいけないと。
「だから、僕はお兄ちゃんとして見守っていようと思ってる。
 ……ちょっと過保護かもしれないけど、ね」
 あはは、と頭を掻きながらKAITOはおどける。
「まあ、兄貴らしくていいけどさ」
 過保護以外に、表しようはないだろう。
 ミクが懐いているというのもあるが、それ以上にKAITOが積極的に世話を焼いているのだから。
 少しだけ軽くなった胸の内に、レンは笑みをこぼした。

「そんなんじゃミクが嫁に行く時は号泣してそうだな」
 ちょっとした冗談のつもりの言葉だった。
 口にしてから、何か失敗をしてしまったようだと気づく。
 文字通り、KAITOが固まったのだ。
 何事かと眉をひそめて様子をうかがっていると、

「ミクは、お嫁になんか行かせない」

 KAITOは嫌にきっぱりと宣言する。
「へ?」
 『行かない』ではなく『行かせない』。
 そこにKAITOの強い意志を感じて、レンは間抜けな声をもらす。
「あんなに可愛いんだし、悪い男に騙されるくらいなら、お嫁に行かない方が幸せだよ」
 うんうんと、一人で勝手に納得している。
 止めなければ。兄の暴走を。
 頭のネジを一本なくしてきてしまったのではないかと、変な心配をしそうだ。
「や、つか、冗談で……」
「お嫁さんなんて冗談じゃない。
 最近はVOCALOIDでも結婚とかって話もあるし」
 言葉をおかしく解釈して、なおも言い募る。
 プロポーズをしたVOCALOIDがいたと、前にマスターから聞いたことがある。
「実際に戸籍があるわけじゃないんだから、心配ないじゃん」
 ウエディングソングを歌うことだってあるのだから、結婚についての知識がないわけではない。
 苗字が一緒になったり、同じ屋根の下で暮らしたり。
 擬似的に体験はできるかもしれないけれど、人間ではないのだから本質は変わらない。
「こういうのは気持ちの問題だろう?」
 けれどKAITOはそうは思っていないようだ。
 確かに本人たちが“夫婦”だと言えば夫婦以外の何者でもないのだろう。
 ミクが結婚するとも思えないのだけれど、それは頭にないらしい。
 どうやって話を中断させようか、考えている時だった。


「あ、おにーちゃんいた~!」
 かん高い声が響いたのは。
 てててっと駆けてくる幼いミク。
 KAITOはいつものように両手を広げて受け止める。
「ねえミク。ミクはお嫁さんに行っちゃったりしないよね?」
 まだその話を引っ張るか。
 ミクの登場によって終わるかと期待していたのに。
「およめさん? みくおよめさんに行ったらおにーちゃん悲しい?」
 言葉の意味がきちんと分かっていないのだろう。
 たどたどしい言い方が可愛いと思えるくらいには、悩みは緩和したらしい。
「うん。すっごく悲しい。絶対泣いちゃう」
 なんだその甘えたような口調は。
 レンはなんだか薄気味悪くなってきた。
 本当にこれはあの、いつも落ち着きを保っている兄だろうか。
 はっきり言って、怖い。
「じゃあみくおよめさん行かないよ!!」
 握りこぶしを作って力説してから、
「あ、でもおにーちゃんのお嫁さんもダメ?」
 甘えるような上目遣いをKAITOに向ける。
 どうやら言葉の意味が理解できたらしい。
 検索の仕方も少しずつではあるが覚えているということか。
「……え?」
 KAITOは目を丸くしている。

「ミク、おにーちゃんのお嫁さんになりたい!」
 続いた言葉に、こぼれ落ちそうなほど目を見開く。
 ミクの発言が意外だったのだろう。いつも穏やかな笑みをたたえている兄には珍しい表情だ。
 レンもいきなりで驚きはしたけれど、傍観者な分、衝撃は少ない。
 何を言っているんだ。とは思ったけれど。
「そっかぁ。ミクがお嫁さんになってくれるなんて、お兄ちゃんは幸せ者だね」
 とろけるような甘い笑顔で、KAITOは言う。
 それはそれは嬉しそうに。
 お兄ちゃんとして見守っているんじゃなかったのかよ、と突っ込めるほどレンは強くはなかった。
「しあわせものだね♪」
 KAITOに合わせてミクまでが満面の笑み。
 両手を広げ抱き合い、じゃれる二人の姿を見て、自分が邪魔者であると気づく。
 深い深いため息をついて、その場を後にする。
「……もう嫌。こいつら」
 泣き言をこぼしたところで、聞いている者はいない。
 寂しいようなむなしいような、微妙な想いを胸に、レンはリンの元に戻ろうと思った。



 軽くなったはずの悩みが、姿を変えて現れた。
 当分、甘やかす兄にうんざりとするのは変わらなさそうだった。





 ミクちゃん、どう見ても12歳には思えない感じですが、嫁ネタが出たので引き上げてみました。
 兄さんがだんだん暴走していきます頭悪い子になっていきます。誰か止めてあげて!
 でもそんな兄さんもいいとか思っちゃうからもう末期な気がするんだ。
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