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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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Your name, My happiness

 カイミクとリンレンでやった、『名前を呼ぶ』ってだけのネタ。
 ついでに互助会BBSの方で話してたネタでもある。
 雷歌ヒビキ×天音ルナ。たぶん、甘めだと思う。






「ヒービキー」

 森の中、自分の声だけが響く。
 リラクゼーション区域の、四季の区。神霊の地。
 神社の外観をしたその一角で、ルナは体育座りをしていた。
 ただ、一人の動向だけを追って。



Your name, My happiness




「ヒービキヒビキヒビキー」
 何だか寂しくて、寂しさを紛らわせたくて、ルナは声を張り上げる。
「連呼しづらくないかぁ?」
 ヒビキが振り返り、苦笑した。
 返事がないわけじゃない。
 呼ぶたび、こうやって彼は答えてくれる。
 けれど、どこか適当にあしらわれているような気がして。
「しづらくってもヒビキが相手してくれるまでは呼び続けるもん!」
 ルナはむきになってしまうのだ。
「相手、してるじゃん」
 そう言いながらもヒビキはまた落ち葉を掃き始める。
 むむむ。やっぱり嘘だ。
「し・て・な・い!
 ワタシにだけかまってくれないとやぁ~」
「そんなこと言われてもなぁ」
 受け答えがどこか投げやりなように思える。
 仕方がないから話し相手をしている。そんな感じ。
 その様子にイライラしてくる。

「しりとりでもするか?」
 ぽん、と手を打って、名案とばかりにヒビキは言い出す。
「びみょー、ってゆーか意味ないし」
 その提案をルナはばっさりと切り捨てる。
 自分たちはUTAU音源だ。データに付加されたプログラムだ。
 簡易的なものとは言っても、検索機能がある。
 しりとりをしたって、永遠に終わりは来ないだろう。
「どーせ、掃除しながらでもできるからでしょ」
 分かってるんだから、とルナはヒビキを半眼になってにらむ。
「はは、図星さされちゃったな~」
 あわても弁解もしないで、からからと笑う。
 何がそんなに楽しいんだろう。
 自分はこんなにも憂鬱な気分なのに。
「……掃除なんてしなくても、自動的に消えてくじゃん」
 定期的に、自動修復プログラムが作動する。
 落ちた葉は木に戻り、踏まれた草花は復元され。
 彼が木の根元に落ち葉を集めたところで、意味なんてない。
「習性みたいなもんさ。
 こうしてると落ち着くの」
 鼻歌まで歌いそうな機嫌の良さで、境内を掃いていく。
 落ち葉は生き物を育てるから、ゴミとしては扱わないと、ずいぶん前に聞いた。
 木の根元には山のように枯葉がたまっていて、ベッド代わりになりそうだ。

「ヒービキー」
「はいはい」
 何度このやり取りを繰り返しただろう。
 むなしさはつのる一方だ。
「……ウサギは寂しいと死んじゃうんだよ」
 しょんぼりと、膝に顔をうずめてルナは呟く。
 どんなに小さくても、距離があっても、UTAUだから声は届く。
「ルナはUTAUだろ? しかも妖怪って設定じゃなかった?」
 ヒビキの声の調子は変わらない。相変わらず明るい。
 心配さえもしてもらえない。
「うう~」
 本気で泣きたくなってきた。
「ヒービキヒビキ、ヒビヒビキー」
 やけになって、彼の名前を連呼する。
「なに?」
 返事はすぐに返ってくる。
 それだけで、満足するべきなのかもしれない。
 けれどルナはわがままだ。もっともっとと、望んでしまう。

「ヒビキの名前呼ぶのは好きだけど、呼んでる分放ってかれてる気がして、なんかヤ」

 自分勝手でいい。横暴だったってかまわない。
 ルナはヒビキに遊んでもらいたかった。
 たとえ相手にやることがあっても、優先してもらいたかった。
 ……それくらい、大事にしていてもらいたかった。
 ヒビキのため息が聞こえる。
 呆れられただろうか。面倒くさがられただろうか。……嫌われただろうか。
 足音。近づいてきている。ルナは動けなかった。

「おれの子ウサギさんは寂しんぼだなぁ」
 ぽんぽん、軽く優しく頭をなでられる。
 顔を上げると、彼は笑っていた。
 いつもの、真夏の太陽のように明るい笑顔で。
 “おれの”と限定してもらえたのが嬉しくて、恥ずかしくて。
 わがままを言ったのが今になって後ろめたくなり、ルナは眉をハの字にした。
「そーですよ、だから遊んでクダサイヨ」
 口をとがらせ、軽口を叩く。
 これくらいのわがままは……許容範囲?
「掃除も終わったし、いいよ」
「やったー♪」
 掃除に終わりがあるのかは分からなかったが、ヒビキの答えにルナは飛び上がった。
 縁側からぴょんと地に足をつけ、るんるんと意味もなく踊る。

「ルナ」
 ヒビキの呼び声。
「ん~?」
 体ごと振り返って、適当に返事をする。
 これから相手をしてもらえるのが嬉しくて、他がおろそかになっていた。

「おれがルナの名前呼ぶときは、いっつも幸せなんだけど。
 ルナにもそう思ってもらえた方がいいな」

 ヒビキは少し困ったような笑みを浮かべて言う。
 どこまでも優しい空色の瞳。
 さっきのルナの発言を気にしていたらしい。
「じゃあ、努力してよ」
 挑発するような笑みをたたえ、ルナは言った。
 本当は、彼の名を呼ぶときは幸せなことの方が多いけれど。
 もっともっと、喜びでいっぱいになれば良いと、思ったから。
 ルナはわがままだから、今以上を望んでしまうのだ。

「がんばらせていただきます」
 彼らしい笑顔でそう答えたヒビキを見て、自分は幸せだ、と再確認した。





 ヒビキは懐の広い男だといい。大雑把というか、大らかというか。
 ルナはちょっとわがままだったりすると可愛くて非常によろしい。好きなタイプだ(みんな好きだけどね)
 この『名前を呼ぶ』ネタでUTAUも全カプ(自分の中でのだけど)制覇するかぁ。
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comment

みに"ぁぁあ!

  • 三日月(みこぜ) 
  • 2009/02/02(月) 00:28
  • edit

【注:タイトルは歓喜の余り若干発狂してるようです】

なんと…なんと素敵なシチュエーション…!!
全てがツボで思わずテーブルを手でバンッバン叩いてしまいましたww(痛
互助会BBSにも感謝です…!!

なんといいますか、ふつつかな娘ですがよろしくお願いします…あれ、何か違う?←

ルナの性格はきっとあんな感じで間違いないと思います。

若干脳の回転が狂って変なこと書いてますが、これにて失礼します…!

Re:喜んでいただけて恐縮です!

  • 樹神 〔管理人〕
  • 2009/02/02(月) 08:05

これこそシチュ萌えですね!
テーブルバンバン……お手は無事ですか~!!
どうやら私は互助会BBSの流れに影響されやすいらしいです(笑)
娘さんは大切にします!!(違うだろ)
ルナの性格、大体合ってますか、良かった~v
では、コメントありがとうございました♪

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