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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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Insensitive 3

 まだ続きます。ちょっと変わった関係のカイミク第三話。前よりはほんの少し長くなった、けど短い。
 MEIKO三人称視点。一人称で統一は無理だった。
 姉さんが嫌な女に思えたとしたら、樹神の技量不足でございます……。






「アンタもせこい手ぇ使うわね~」



Insensitive 3




 ミクが走り去ってゆくのを見送ってから、MEIKOは立ち尽くしている弟に寄っていく。
 彼女は聞いていた。二人の会話を。KAITOの、いつもとは違う、声を。

「何のこと?」
 微笑を浮かべ、とぼける青年に眉をつり上げる。
「あたしに隠し事ができると思ってるの?」
 できないわけでは、ない。
 KAITOは表情を作るのも感情を隠すのも得意な方だ。
 けれど、同じエンジンであるMEIKOには多少の違和感を察知できてしまう。
 しかも今回の場合は、ミクを突っついて様子を見ていたのだから、すべて筒抜けだった。
 青年がいつもと同じ言葉に込めた、いつもは隠していた感情のことも。

「……ミクに何か言ったの、姉さんだろう?」
 諦めたように一つため息をついてから、KAITOは責めるように言った。
「ええ、そうよ。アンタたちがはっきりさせないから、手を貸してあげたんじゃない」
「ミクはずっとはっきりしていたよ」
 悪びれることなく肯定すると、すぐに訂正された。
 はっきり「好き」と言葉にしていたことを指しているのか。
 それとも恋などしていないとはっきりしていたという意味なのか。
 きっと、KAITOからしたら後者なのだろう。
 MEIKOは顔をしかめて、睨むような強い眼差しを青年に向けた。

「アタシから見たら中途半端だったわよ。
 じゃなきゃ今みたいになるわけないでしょ」
 現状を引き合いに出して、暗に『自信を持ちなさい』と伝える。
 KAITOはどうしたって悪い方へと考えがちなのだ。
 最悪の事態を想定しておけば、それ以上つらいことは起きないとでも言うように。
 慎重と言えば聞こえはいいけれど、いつまでも湿っぽくされるのは気分がいいものではない。
 できればさっさとケリをつけてもらいたい。
 二人にとってもその方が良いと、MEIKOは考えていた。
「そうならいいけど」
 青年の気の抜けた受け答えに何か釈然としないものを感じる。
 動く気がないのか、それともお節介を焼く姉を鬱陶しく思っているのか。
 どちらでもないような、空虚な響きのある声だった。

「でもこれで一歩前進じゃないかしら?」
 KAITOの思考を読むために、さらに言葉をかける。
 このままで困るのは当人やMEIKOだけではないのだ。大切な大切なマスターが、困る。
 前から二人のことを気にかけていたのに、今の状況では大きな悩みの種になってしまうだろう。
 自分を含めた全員のために、彼らをこのままにはしておけないのだ。

「避けられるくらいなら、前のままで良かったかも」
 ぽつりと、抑揚のない声で青年は呟いた。
 それでこんなに気落ちしていたのか、とMEIKOは呆れる。
 弟がどれほどミクを好きか、ミクに依存しているかは分かっていたが、ここまで来ると二の句も告げない。
 確かにあの様子だと、しばらくは避けられるかもしれないけれど。
 無邪気に傷つけられるよりはマシ、とはどうやら彼は思えないらしい。
「さすがにもう面倒は見られないわよ。
 アンタがしっかりなさい」
 ミクだって、きっとKAITOのことが好きなのだ。
 まだ、“恋”と呼べるほどまで育っていないとしても。
 いつかは綺麗な花を咲かせる蕾を不安そうに、けれど大事に温めている。
 MEIKOはそれの後押しをほんの少ししただけ。
 後は、当事者たちの問題だ。

「……ん」
 小さな小さな返事は、感情というものが抜け落ちたような声で。

 重症ね、とMEIKOは深くため息をついた。





 説明多いし。むずい……。KAITOは「好き」って言葉にいつもは親愛だけ込めてたのを、今回に限って恋愛感情を込めてみた、ってこと。
 ミクに変化があって始めてそういう行動(しかもばれない程度の)に出たので、「せこい手使うわね」に繋がるわけです。
 音に敏感なVOCALOIDにはわずかな違いがとても顕著に伝わる、と。
 蛇足、失礼しました m(__)m
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