VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです
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Good night
テト×テッド。たぶん、微糖。とゆーか天然夫婦だと思う。
前提と言うか、前情報として。テトとテッドは、一つの部屋を仕切って暮らしてます(同じ音源だから)
「テッド、起きているか?」
遠慮のない声の大きさ。
人であれば、たとえ寝ていたとしても起きてしまう。
UTAUのスリープモードはそんな簡単には切れないから、気にしていないのだろうが。
「起きているんだろう」
「分かってるなら訊くな」
さすがに無視もしていられなくて、テッドは答える。
「返事をしないとは何事か」
テトはむっとしたようだった。声で分かる。
感情豊かな少女は、特に怒りの表し方が多様だ。
「独り言かと思ってな」
結局、相手をしなくてはいけなくなってしまった現状に、ため息をつく。
どうせろくなことではないのだろうに。
分かっていても、最終的には放っておけない。
案外お人好しなのかもしれない。
「君は実に馬鹿だな」
お決まりの台詞を、いつもよりも弱い声で言う。
眠気、というものはないが、夜特有の空気に気落ちしているのだろうか。
スリープモードに入るためには、気を安定させなければいけない。
データ保持のために、不安定な状態ではバックアップを取れないのだ。
きっと、うまく気分を落ち着かせられないのだろう。
「……そっちに行ってもいいか」
案の定、少しの間の後にテトは尋ねてきた。
「駄目だと言ったら来ないのか?」
「行く」
即答だ。なら初めから訊くなと言いたい。
布がすれる音。控えめな足音。
仕切りからテトが顔を覗かせる。
そのまま、そこから動こうとはしない。
テッドがきちんと承諾するのを待っているのだろう。
自分勝手でわがまま放題のくせに、こういう時だけは気を使う。
どこかちぐはぐで、危なっかしい。目が放せない。
「まったく。
ほら、さっさと入れ」
毛布を手で上げて、一人分の隙間を作ってやった。
捨てられた子猫のようだった瞳に、嬉しそうな光が灯る。
もぞもぞとベットに上がり、テッドの胸にぴたりと寄り添う。
腕を伸ばしてやると、そうすることが当たり前だというように頭を乗せてくる。
「温かいな」
ふふ、と笑みをこぼす。
猫を飼ったことなどないし、どんな生き物なのかも情報でしか知らないが、きっと似ている。
腕の中で丸くなっている存在と、気まぐれなところが。
甘えてきたかと思えば、ふいっとどこかへ行ってしまったり。
次の瞬間には、何事もなかったかのように、隣にいたり。
「寝ろ」
テッドは短く告げる。
「言われずとも」
同じようにテトも答える。
明日も変わらない日々があるだけだ。予定もない。
繰り返しの日常の中に、たまにこんな非日常が顔を出す。
途惑うこともなく、テッドはそれらを受け入れる。
テトに振り回されるのも慣れていた。本人は、失敗してばかりだと思っているだろうが。
悪い気はしない。
「おやすみなさい」
珍しく、テトがそう口にした。
言うまでにかなり迷ったようで、覗き込むと仏頂面を作っていた。
「……おやすみ」
笑みをこぼし、テッドは挨拶を返す。
頭をなで、今は解かれている縦ロールを梳いてやる。
どうして一人で寝ようとしなかったのか。
どうしてテッドと寝たがったのか。
テッドは訊かない。テトも何も言わない。
いつもそうだ。
何か意味不明な行動を起こしても、テッドは理由を問わない。
テトだから。それで充分だった。
無駄な言葉は必要ない。
自然な距離感。空いているのかも分からないくらい、隣にいるのが当たり前で。
迷惑をかけるのは誰にでもするが、甘えるのはテッドにだけだった。
「明日は……」
テトが小さく呟く。
「一緒に歌うぞ、テッド」
お願いではなく、命令。否と答えるはずがないと、分かっているからこその言葉遣い。
何だかんだ言って自分も彼女に甘い。
「お姫さまの仰せのままに」
仕返しとばかりに、わざと丁重に答えてやる。
お姫さま扱いが苦手だと、最近になって知った。
テトにも女らしい恥じらいというものがあったらしい。
元から丸くなっていた体を、さらに縮こまらせる。
照れたのだろうと、髪のすき間から覗く赤く染まった耳から判断する。
ガラにもなく可愛らしいと思ってしまい、テッドは苦笑をこぼした。
今日は昨日の続きで、明日も、今日の続きで。
点の連続でしかない毎日の中に、それでも小さな変化はあった。
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