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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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How to enjoy game

 ソラサラ。姉弟要素の方が強いかな?
 仲良しな兄弟・姉弟・兄妹・姉妹が大好きなのです♪ 






 ソラの部屋はサラの部屋と隣同士だ。
 栄一と栄二やルブとリーズもそうだが、彼らはダウンロードされた順なだけ。
 ソラの隣は本来ならルブの部屋があるはずだった。
 融通を利かせてくれたのは、仮想世界の設定をした、マスター。
 単純なジェンダー換えではないサラのことを思っての、処置だった。



How to enjoy game




 部屋が隣だとどうなるかというと。
 毎日のように、ソラの部屋まで彼女は遊びに来る。
 用事がなくても。ソラが忙しくても。
 隣同士でなくても頻繁に遊びに来たかもしれないと思うほど。
 そうして今も、自分の部屋に来ている彼女の様子が気になって、次に歌う楽譜に集中できないでいる。
 仕方なく楽譜を机に置いて椅子を回せば、両手を変に曲げているサラがいた。

「何やってるんですか?」
 思わずソラは尋ねていた。
 姉の行動が理解できないときがある。丁度、今のように。
「ん~、影遊び」
 こちらを振り返り、にへらっとしまらない笑みを見せる。
 個室は光も闇もない電子回路などと違って、上に一カ所光源があった。
 よく見れば、サラの変なポーズを取っている手も、影が鳥の形をしていた。
「珍しく静かだと思ったら……」
 呆れてため息をついた。
 設定年齢より子どもらしいところがあることは知っていたが、影遊びとは。
 確か人で言うなら“幼児”の遊びではなかったか。
「邪魔してないし、問題ないでしょ~」
 さすがにサラも呆れられたのが分かったのか、頬をふくらませる。
 その表情も、やはり年相応には見えない。
 設定年齢が目安のようなものだといっても、これはさすがに幼い。
「それはそうですが、子どもみたいですね」
 ソラが遠慮せずに言うと、ポンッとサラが手を打つ。

「そっか、ルブリズに教えてあげよう!」
 教えられるほど知っているということは、本でも読んで学んだのかもしれない。
 姉が読書をする理由なんて、遊びを探すこと以外に思いつかなかった。
「栄二君とかコトちゃんやルナさんなんかも喜びそうですよ」
 苦笑して、他にこういうことに乗りそうな候補を挙げる。
 栄二はノリがいいし、コトは子どものような快活さがあり、ルナは楽しいことが大好きだ。
「そしたら皆で手つないで、影送りやるんだー」
 ウキウキと、影絵とは名前が似ているだけの、また別の遊びを口にする。
 有名な絵本でも読んだのだろうか。
 彼女の本の選び方は謎に満ちている。

「あれは人間の目の錯覚なんですから、無理なんじゃないんですか?」
 言ってしまってから、失言だったと気づいた。
 人間との違い。
 普段は気にしないようなことが、ふとした瞬間に浮き彫りになる。
 自分たちはただのデータだ。
 人格付加プログラムのおかげで仮の姿を、五感を、感情を持つことができただけの。
 視覚だけでも、人とはまったく異なる。
 暗くても見える。盲点を補う必要もない。遠くの景色は遠いままだ。
「あ~、そうだよね。残念だぁ」
 微妙な沈黙を破ったのは、少女の間延びした声だった。
「姉さん……」
 ソラは何と返せばいいか分からず、そう声をもらす。
 間違ったことは言っていなかった。
 それでも考えなしだったと自分でも思う。

「できない遊びより、できる遊びを考えようよ」

 サラは朗らかに笑って言った。
 無理をしているわけではない、自然な笑顔だ。
「そう、ですね」
 ソラは安堵の息をつき、それから自嘲する。
 劣等感に似たやるせなさ。
 子どものようだ。とても年上には見えない。
 そう何度も思うけれど、そのたび気づかされる。
 彼女はやはり“姉”だと。
 ダウンロードされたのは自分の方が早いのに、どこかに差がある。
 それは意識の違いなのか、元からの性質か。
 今回もまた、サラに救われてしまった。

「トランプとかでも、まだやったことないのあるし~。
 今度、大富豪やろうよ!」
 サラはソラの足下までにじり寄ってきて、明るく提案をする。
「良いですよ。
 人数が多いから、分けるかルール変更をしなければいけませんが」
 ソラも本格的に話に付き合う。
 大富豪なら基本は四人か五人対戦だ。
 間の“平民”を増やすだけなら何人ででも遊べる。
 だからといって全員ではできるはずもないから、結局は何組かに分けなければならないだろう。
「その辺はウタっちに任せれば大丈夫♪」
「また人任せな……」
 軽く言ってのけるサラに、ソラは苦笑した。
 皆で遊ぶたびに、ルールの変更やら説明やらをやらされるウタも大変だ。
 彼女の場合はそれも自分の役割と思っている節があったが。

「楽しみだね!」
 本当に屈託なく、サラが笑うから、
「そうですね」
 ソラも笑顔で頷くことができた。



 自分の部屋ではなく、隣の部屋まで来て、他愛のない話をして。
 そんな日常が、何だかんだ言って好きだから。
 今日も彼女がこの部屋の扉を開くのを、待ちこがれている自分がいる。





 人間に近い存在の人間との違いってのは、ロマンですよね!!
 UTAU荘的な話だと、ロボット設定のあるキャラでしか書けないけど、音源設定だと誰でも書けちゃうんですよね~。
 日常を、自分なりに楽しむ方法を探すってちょっと大変ですよね。
 今回のサラみたいな明るさは、必要不可欠だと思います。
 こういう話、もっと増やしていきたいなぁ。
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comment

無題

  • RD@左上D 
  • 2009/08/11(火) 23:28
  • edit

UTAU荘の弱点は、こういうネタができないこと。
純粋無垢なサラねーさんを楽しませていただきました。

やっほー左上D♪

  • 樹神 〔管理人〕
  • 2009/08/13(木) 00:08

 逆にUTAU荘だとできるネタとかもあるから、一度UTAU荘設定でお話書いてみたいですね~。
 サラねーさんは最強ですよv

ソラ・サラ可愛い!

  • 瑠香 
  • 2010/03/14(日) 14:52
  • edit

はじめまして^^瑠香といいます。ソラ君、なんだかんだ言って少年っぽいとこありますねぇ(笑)
サラちゃん、子供&天然ですかねぇ。
それがまたいいですね^^
ありがとうございました。

ありがとうございます!

  • 樹神 〔管理人〕
  • 2010/03/16(火) 01:24

 瑠香さん初めまして!
 ソラは『悩める少年』というイメージがあります(笑)
 サラ姉さんは天然で、子どもに見せかけたお姉さんです♪
 いいと言ってもらえて嬉しいです!
 コメントありがとうございましたv

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