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しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

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heals it with tiredness

 そろそろテト誕生際の準備をしなくてはいけませんね。
 ネタはあるので、ちゃんと形にできれば……できれば当日に、更新したいです。
 それとは関係ないテドテト。ほのぼのかなぁ。モモが友情出演してます。






 テトには分からないことがある。
 というか、分からないことだらけなわけなのだが。
 その最たるものが、今テトの足下に寝ころんでいるヤツのことだ。



heals it with tiredness




 いや、正確には足下ではなく足の上……太ももに頭を乗せられている。
 俗に言う、膝枕というものだ。
 なぜこんなヤツに自分が膝枕をしなければならないのか、言いたいことは山ほどある。
「テッド」
 非難がましく男の名前を呼ぶ。
 少なくとも今回はこちらが被害者だ。
 いつもだって……そりゃあ、ほんの少しくらいは迷惑をかけているかもしれないが。
 仕返しをされるいわれはない。
「狸寝入りをしても無駄だぞ。
 起きていることは分かっている」
 UTAU同士で感じられる波長で判別できる。
 スリープモードに入っているときは、もっとなだらかだ。

「テッ――」
「少しは静かにできないのか、お前は」
 テトの呼び声にかぶさるようにして、テッドが声を発した。
 なぜ被害者側の己が非難されなければならないのか。
 理不尽さにテトは眉尻を上げる。
「どうしてこんな状態になっているのか、説明しろ」
 訊きたいことはたくさんあるが、まずはそれだ。
 言葉が足りないどころではない。テッドは一言も話さず、少女の膝を枕にしてしまったのだから。
 説明を求めるテトに一瞥をよこしたあと、男は鬱陶しそうにまた瞳を閉じてしまった。
「テッド!」
 名前を呼んでも、反応はない。
 テトは困り果てて、ため息をついた。
 彼が何をしたいのかが、分からない。

「ああ、テトさんにテッドさん」
 リビングとつながっている扉を開いたのは、桃色の髪に緑を基調とした服装の、桃音モモだ。
 ここも共有スペースの端だから、誰が来たっておかしくはない。
「モモ~!」
 テトは助けを求めるように両手を伸ばした。
 本当は飛びつきたい勢いだったが、足に乗っかっているヤツを地面に叩きつけるほど、非情にはなれない。
「すみません、お邪魔しちゃいましたか?」
 モモはテトとテッドの体勢を見てどう取ったのか、そんなことを訊く。
「何のことだ?
 それよりもコイツをどうにかしてくれ」
 テトの太ももを借りて寝っ転がっている、厚かましい男を指差す。
 モモはそれだけで大体の経緯は察したようだ。
 苦笑して、足音を立てずに近づいてくる。
「テッドさん、きっとお疲れなんですね。
 ちょっとだけ許してあげてもいいんじゃないでしょうか」
 テトの横にしゃがみ、そう言う。
 確かに。少しくらい寛大になってやっても、いいかもしれない。
 『許してあげる』というのは偉そうでなかなか良い。

「テッドは疲れているのか?」
 彼女の言葉の中で気になったことを尋ねる。
 どうしてテトの膝枕で寝るのか。の前に、どうして寝るのか。という疑問があった。
 疲れているから。というのがその答えなら、今度はどうして疲れているのかが、新たな問題になる。
「ほら、今ジェンダー換え音源だけでカバー曲を歌わせようとしているじゃないですか」
 モモはきちんと説明してくれるようだ。
 足下で寝こけてる誰かとは違って、親切だ。
「ああ、マスターが『変わったことがしたい』と言っていたな」
 マスターは少し変わっている、『自称一般人』だ。
 オリジナル曲も作ってくれるが、カバー曲の方が評価されたりする。
 特に、アレンジしてカバーしたときが一番受けが良い。
 今回もその予定だったはずだ。

「皆さんの相性があまり良くないようなんです。
 歌は、問題ないんですけどね」
 仲が悪かろうが、マスターが嫌いだろうが、歌えるのがUTAUだ。
 UTAU用の感情などの付加プログラムは、あくまで人格を与えるためだけのもの。
 VOCALOIDとは違って、歌自体には影響を及ぼさない。
 ――少なくとも、理論上は。
「よくモノさんとサイさんが言い争いをしているんですよ。
 ユズさんは我関せずで、ヒビキさんが一応止めにはいるらしいんですけど、火に油をそそいでしまったりして」
 彼らの性格を知っているテトは、その様子が目に浮かぶようだった。
 モノは人見知りが激しいし、サイは一言多い。
 ユズは気まぐれで、ヒビキは抜けているところがある。
 それにモノはヒビキのことが好きではないようだから、仲裁に入られたら余計に不機嫌になるだろう。
「結局、まとめるのは年長者のテッドさんになってしまうみたいです」
 モモが下を向き、テトも自然とその視線を追う。
 テトの足下で、眠っているように見えるテッドの横顔。
 UTAUにとって疲れという観念は、曖昧だ。
 人間のように身体に直接出るわけではない。
 だからといって、まったく疲れないというわけでもなく。
 精神的疲労とでも呼べばいいのだろうか。
 疲れがたまれば動きが鈍くなったり、強制的にスリープモードに入ることもある。

「モモちゃ~ん! 焼けたみたいだよ~」
 リビングの方から、栄二の大きな声が届く。
 どうやら何かを作っていたようだ。
 モモはゆっくりと立ち上がり、二、三歩扉の方に向かってから、足を止める。
「アップルパイを作ったので、あとで食べにきてくださいね。
 ちゃんと二人分、残しておきますから」
 振り返って、人差し指を口の前に持っていく。
 それは、誰もここには来させないようにしておく、と無言で伝えていて。
「分かった」
 二重の意味で頷いたテトに笑顔を返し、モモはリビングへと戻っていった。
 残されたのはテトと、いまだ眠ったふりを続けているテッド。
 今の話も聞いていただろうに、何の反応も示さない。

「疲れていたならそうと、初めに言えばよかったのだ」
 どうして説明をおこたるのか。どうして一番にテトの元に来たのか。
 相変わらず、分からないことだらけだ。
「膝枕でも腕枕でも、してやったのに」
 そう言いながら、テッドの横髪を軽く引っ張った。
 自分と同じ赤褐色の髪は、逆らうことなくテトの手の中に収まる。
「お前の腕では細すぎるだろう」
 テッドは面倒くさそうに呟いた。
 どうして部屋で休まないのか。どうしてテトの膝枕である必要があったのか。
 訊いたところで、どうせ答えは教えてはくれない。

「ゆっくり、休め。
 そしたらアップルパイを食べにいくぞ」

 返事はない。
 それでも断っているわけではないと、テトには分かった。
 分からないことはたくさんあるけれど。
 とりあえず今は、それさえ分かっていればいいと、テトは思った。





 話の筋とか何にも決めずに書き始めることがあります。これがそう。
 テトには分からないことがあるらしい→それはテッドのこと→どうせなら膝枕させよう!→何で?→疲れてるから。 なノリです。勢いです。何も考えてません。
 モモちゃんはテトの甘えられる存在。デフォ子は心の支え。
 というか素でテトのこと“少女”って書いててびびったんですがっ! 永遠の少女ってことでいいですよね!
 名前だけですがサイ君が出てきました。サユのジェンダー換えキャラです。
 モノ君がヒビキを敵視してるのはもちろん“嫉妬”ですよ(^^)
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comment

仮名なんか使ってもすぐわかりますよね;

  • RK(仮) 
  • 2009/03/25(水) 14:15
  • edit

|電柱|・ω・`)
こんにちはっ。いつもコメントコメント、と思いつつ送信ボタンが押せないRK(仮)です。
樹神さんの書く文章はあったかくて大好きです。それにここの子はみんなかわいくって♪
いつもにっこにこしながら読んでます。
今日も「かわいいなぁv」とか思いながら読んでたら、あら?ヤツの名前が出ている。見間違いじゃね?
でもなぁ。名前出てるしっ・・・「あぁこの子も表を歩けるようになったんだぁ」って感じの勢いでコメしちゃったり!

これからも頑張ってください!!影からこっそり応援してます!!|電柱|・ω・`)ノ

長々とごめんなさい。
失礼しましたー。

特定余裕でした(^^)

  • 樹神 〔管理人〕
  • 2009/03/25(水) 19:27

 こんばんは~、とりあえず電柱から出てきてくださいっ(笑)
 見られていたのですね~。しかもコメントも残そうとしてくださってたみたいで、嬉しいですv
 うわわぁ、恥ずかしいです!! 温かいとか、可愛いとかっ! それはきっとUTAUキャラたちのおかげですよ~!
 でもニコニコできるお手伝いができたのなら良かったです(^^)
 サイくんのお名前をお借りするのには迷いませんでしたね~。いつかお話書くつもりありましたし。
 表をってww ここも表とは限りませんよ!

 影からと言わず、いつでも気軽にコメントしてくださいませ! 待ってます♪

 早くサユちゃんとサイくんのほんのりシリアス話も書きたいなぁ……。

無題

  • 和美 
  • 2009/06/17(水) 15:29
  • edit

初めまして。
テッドの「お前の腕では細すぎるだろう」に萌えました。
何か格好いいです><
そしてテトは少女と表現すべきだと思います。

いきなり失礼しました(逃

初めまして!

  • 樹神 〔管理人〕
  • 2009/06/28(日) 14:16

 和美さん、コメントありがとうございます!
 テトの腕が不満だったからテッドは膝枕にしたのかもですね~v
 格好いいというより自分勝手なのかも(笑)
 テト少女でも平気ですか! それは書きやすさの面でもドリルが飛んでこないという意味でも嬉しいです♪
 コメントありがとうございました~!

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