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しあわせの音

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7・君は僕が嫌いだろうか

『愛しい君と過ごす日々で50のお題』 7・君は僕が嫌いだろうか(星歌ユズ×楓歌コト)

配布元:原生地






 あなたはぼくのことが嫌いだろうか。
 ……たぶん、嫌いなんだろうな。
 はっきり言われたことだって、一度や二度じゃないし。
 何となく面白くないけど、いつもいじめてるのはぼくなんだから、仕方がないのかもね。
 うん。そう思うことに、してみるよ。



だろうか




 あなたの反応が楽しくて、僕はいつもあなたにかまう。
「コトコト」
 こうやって、ただ呼ぶだけで。
「擬音語みたいで嫌だから続けて呼ばないでよね」
 すっごく嫌そうな顔で振り返るから。
 何が出てくるか予想もできない、ビックリ箱のようなあなただから。
「笑ってみてください」
 つい、いつもと違う面も、見たくなるわけで。
「はあ?」
 コトは不快そうに眉をひそめて、聞き返してくる。
 そんな顔じゃなくて。いつもの顔じゃなくて。
 皆に見せる、僕だけには見せない、笑顔が見てみたいんだ。

「楽しいこともないのに、笑えるわけないでしょ」
 なにを当たり前なことを、とでも言いたげな瞳を向けてくる。
 どこまでも真っ直ぐなそのまなざし。
 ぼくはどのくらいあなたの視線を捕らえられてるのかな。
「コトはいつも笑ってるじゃないですか」
 論文を書けそうなほどコトを観察しているぼくは知ってる。
 誰に対しても、コトは笑顔を向ける。
 たとえば、名前を呼ばれて。たとえば、褒められて。たとえば、頭をなでられて。
 いつだって誰にだって笑顔を返すのに、ぼくに向けられたことは一度もない。
「だから、それは楽しいことや嬉しいことがあったとき。
 今はそれがないから笑えないの」
 仕方がない、といった風に説明してくれる。
「ぼくといても楽しくありませんか」
 心外に思って、ぼくはそう呟く。
 ぼくはコトといると楽しい。だから、コトも楽しければいいのに。
 そう簡単には行かないものなのかなぁ。
「……いじめられて、からかわれて。
 どこに楽しい要素があるのよ?」
 不審そうに顔をしかめ、コトは言う。
 ああ、確かにそれは楽しくはないかもしれない。
 ぼくでさえ、いじめられたらいじめ返したくなるだろうし。

「じゃあいじめなければ楽しくなりますか?」

 思いついたままを口にすると、コトが片眉を吊り上げる。
 これは理解できないときの表情だ。
「あんたらしくないじゃん。
 どうかしたの?」
 いぶかしげな、だけど少し心配そうな、コトの問い。
「ちょっとした気まぐれです」
 ぼくはそうとしか答えられなかった。
 自分でもよく分からない。
 ただ、コトのどんな顔でも見てみたくて、見たことないのが悔しくて。
 気まぐれ、なんだろうと思う。いつものこと。
「ユズが楽しませてくれるなんて、想像もできない」
「やってみなくちゃ分かりませんよ」
 仏頂面のコトに、ぼくは挑戦的な笑みを向ける。
 意外と負けず嫌いだったのかもしれない。
「コトにとって楽しいのって、どんなことですか?」
 いつもよりも下手に出て、尋ねる。
 まずはそこからだ。どうすれば楽しいのか、嬉しいのか、分からないと始まらない。
「それくらい自分で考えるものでしょ」
 コトは簡単に言うけれど、ぼくは本気で困ってしまう。
 人を喜ばせる方法なんて知らない。
 喜ばせようとしたことがなかったから。
 面白い人はおもちゃにして、好きな人には好意を示して。
 だからって誰かのために何かをするなんて、考えたこともなかった。

「分からないから訊いてるのに。
 答えてくれないのはコトなりの意地悪ですか?」
 ぼくは何の気なしに笑って訊いた。
 瞬間、コトは表情をゆがめる。
 あ、やっちゃったみたいだ。
「そーゆーこと言うからこっちも怒るんでしょ!
 あんたの気まぐれにはもう付き合ってらんない!!」
 顔を怒りに真っ赤に染めて、コトは走って行ってしまった。
 意地悪だとか、いつもぼくにされてるから、好きじゃないんだろうな。
 それを揶揄したものだから頭に来たのかな。

「コトはすぐ怒るなぁ」
 残されたぼくはそう呟く。
 わざとのことが圧倒的に多いけど、ぼくはコトを怒らすのが得意らしい。
 コトが怒りっぽいのか、ぼくとの相性が悪いだけなのか。
 今日は、もっとちゃんと話したかったんだけどな。
 笑顔を、見てみたかったんだけどな。
 ぼくとコトとの仲じゃ、やっぱり無理、なのかもね。



 あなたはぼくのことが嫌いだろうか。
 ……たぶん、嫌いなんだろうな。
 分かりきった答え。それでも、ぼくは今日も違う答えを探す。
 ぼくはあなたが嫌いじゃないから。
 なのにあなたがぼくを嫌いだなんて、癪だから。

 うん。きっと、そういうことなんだと、思うことにしてみるよ。





 まだ自分の気持ちに気づいてない時のユズ君です。
 コトをいじめるのは楽しいけど、ふとした瞬間にもやもやを感じてればいい。
 というかお題、喧嘩ップルが続いた(笑)
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comment

無題

  • 乃駆 
  • 2009/02/26(木) 11:58
  • edit

ここのユズは出てくるたび自分と同じようなことをしてて毎回驚いてます。
しかも今回のはまた一段と中の人とシンクロしてます。
子は親の鑑ってことですかそうですかw

これからも無理しない程度に頑張って下さい。

コメントありがとうございますv

  • 樹神 〔管理人〕
  • 2009/02/26(木) 22:40

 どの辺がシンクロしたのかがすっごく気になります!
 けっこう素で書いてるんですが、もしや乃駆さんの影響も受けてるのやも……?
 そうですね、子は親を見て育ちますからww

 50のお題というのが少しプレッシャーではありますが、今のところ楽しくやっていられてます(^^)
 無理せず自然体でがんばろうと思います! ちなみに次のお題もユズ君絡みだったりするのです(まさかの連続)

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