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HATUNE MIKU
ずいぶん前に書いた、突発小話。短いです。
カイミク。KAITO視点。
「ねえ、お兄ちゃん」
いつもと違う沈んだ声に、青年はすぐに何かあったのだと直感した。
肩に手を乗せ、うつむきがちなミクの顔を覗き込む。
「どうかしたの? ミク」
穏やかな声で問いかければ、どう言おうか迷っているのか、視線が泳ぐ。
何度か口が開いたり閉じたりを繰り返した後、泣きそうな瞳がKAITOに向けられた。
「お兄ちゃんが好きなのは、初音ミク? それとも私?」
不安げに揺れる翡翠の双眸に、優しく微笑みかける。
彼女の望むものかは分からないけれど、答えは決まっていた。
「僕の大切な妹の初音ミクだよ」
“初音ミク”でなければ、この愛しい少女ではない。
今まで一緒の時を過ごした少女以外の“初音ミク”を、愛しいとは思わない。
両方の意味を込めて言葉を紡いだ。
「初音ミクで妹の、私?」
震える声で聞き返してくる。
「うん。どっちもミクだろう?」
安心できるようにと、笑みを浮かべたまま答えた。
大丈夫。誰も、ミクを否定したりはしない。
ありのままのミクを受け入れるから。
「そ……うだね。そうだよ!
私は初音ミクで、お兄ちゃんの妹だもん!」
ほっと息をついて、それから言い聞かせるように強く頷く。
ありがとう、と明るく笑う。
何に不安になったのか、KAITOは知らない。
それでも、自分が分からなくなることは、変動するVOCALOIDではよくあることだから。
不安になるたび、教えてあげよう。
等身大のミクを認め、とどめてあげよう。
何度も、何度でも。
いつか不安を感じなくなるまで。
――KAITOの手を、必要としなくなるまでは。
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