VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです
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I like song
またかこらぁ、と言われそうな勢いでUTAUです。しかもマイナーまっしぐらです。
時音タクと唄音ウタ(通称デフォ子)。デフォ子がタクに懐いてく、過程のようなお話。短め?
「歌は、存在理由。私がいる意味」
数多ある言葉を組み換え、明確な答えを出す。
間違いはない。
UTAUのデフォルトの音源としてある以上、歌とは切っても切り離せない縁がある。
「その通りなんですけど、ちょっと堅いですよね。
ウタさんは、歌うの好きじゃないんですか?」
一歩、タクは近づいてくる。
「望まれれば歌います。
好きだとか、好きではないなどという主観的要素は必要ありません」
歌うという目的のためには、好き嫌いをしていてはいけない。
行為の妨げになってしまうから。
「それじゃあつまらないですよ」
タクは、どこにそんな自信があるのか、言い切る。
また一歩、距離が縮まった。
「ウタさんも、歌を好きになりましょう」
なみ。なみ。なみ。波立つのは、何か。
ウタのココロか。ココロというものが、本当に存在するのか。
人工知能。感情プログラム。それらは確かに適合されているものなのか。
「必要がありません」
きっぱりとウタは答える。
答えははっきりとしていなければいけない。100%でなければいけない。
「必要なんてなくてもいいじゃないですか。
自分から歌った方が、気持ちがいい。
だから、好きになった方が楽しいですよ」
「理解ができません」
解析不可能。定義できない。
ウタは混乱する。
あまりに曖昧な情報に、処理のしようがなくて。
「あなたの名前と同じものなんですから、好きになってみましょうよ。ね?」
タクは笑顔だ。何を考えているのか分からない笑み。
ウタが分かろうとしていないのか、ウタには分からないだけなのか。
「名前と好きになることに関連性が見出せません」
「歌を好きになれば、自分のことも、好きになれそうじゃないですか」
一歩。もう間に詰められるほど距離はない。
「……好きになる、必要は……ありません」
さざなみ。何かが揺らぐ音がする。
ウタは耳をふさぐ。
それでタクの声が届かなくなるわけはないのに、自分の身を守るように。
「僕は好きですよ、ウタさんのことが。
だからウタさんも好きになってあげてください」
タクが、手を伸ばす。
ウタの頭を、そっとなでる。
何のための行為だろうか。ウタには分からない。
けれど、不思議と心地良い。
「私、は……」
瞳を閉じる。何も見えなくなる。
自分のココロが、浮き彫りになってくる。
「歌も、ウタさんも、素敵ですよ」
穏やかな、優しい声。
乾いた大地に水が染み渡るように、するりとウタの耳に響く。
「タク……は、歌が、好き……」
「はい」
肯定が返ってくる。
「タクは、ウタが、好き」
「好きですよ」
返事が、なぜか嬉しい。
分からない感覚だ。
でも、悪くない。嫌いではない。嫌いではない、は、好き、なのかもしれない。
「私、は、歌が……好き」
違うかもしれない。気のせいかもしれない。
でも、明確な答えが出た。100%の答えだと、どうしてか自信が持てる。
「それは良かったです」
タクは笑った。顔いっぱいの笑み。
その顔は、嫌いじゃないと思った。好き、ということだった。
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