忍者ブログ

しあわせの音

VOCALOID・UTAUキャラ二次創作サイトです

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

I love you

 ソラサラ。……微糖? カイミクでやった、『罰ゲームで愛の告白』ネタ。
 ちゃんと書いてはないけど、VOCALOIDたちと一緒の方の二人です。






 沈黙が、続く。
 ソラはそれを重く感じるけれど、きっと目の前の彼女には違う。
 面白がっているのが一目で分かる笑み。
 この状況を、どう切り抜ければいいのか。
 少年は本気で悩んでいた。



I love you




「姉さん」
 ためしにいつも通り呼んでみる。
「はぁい?」
 すぐに返事は返ってくる。
 何かを期待するようなまなざしで。
「…………っ」
 ソラはうつむいて、唇をかむ。
「ほ~らソラくん、言っちゃいなよ~」
 能天気なサラはそうやってソラを急かす。
 冗談じゃない。こっちの身にもなってくれ。言いたいことは山ほどある。
「無理です、無理無理絶対に無理。
 僕には言えません!」
 けれどとりあえず、否定の言葉を叫ぶように告げた。
 絶対に嫌だ。誰にだってできないことはある。

「簡単に根を上げな~い。
 成せば成る、だよ?」
「使い方間違ってませんか、それ」
「知らなーい」
 サラはのらりくらりとソラの意見をしりぞける。
 掴み所がないのは今に始まったことではない。
 いつも、今回もそのせいでソラは劣勢に立たされるのだ。
「……やっぱり、違う罰ゲームに替えてください」
 ため息をついて、サラに頼み込む。
 罰ゲームありのトランプなんて、しなければよかった。
 サラが言い出したことだったから。心弾ませていたから。
 彼女が一番になって、自分が最下位になるなんて、思わなかったから。
 思わず頷いてしまった過去の自分を責めたくなった。
「それじぁ罰ゲームになんないじゃない。
 もうここはあきらめて、言っちゃいなよ~」
 ウキウキと跳ねる声でサラは促す。
 いったい姉は何がしたいのか。どうしてそこまでして言わせたいのか。
 ソラには彼女の考えていることが分からない。
「姉さんは、何でそんなに嬉しそうなんですか?」
 困りきった少年は、思ったことを素直に尋ねる。
「だぁって~、ソラの口から聞けるんだよ?
 いっつもあたしばっかり言ってたのに」
 この状況を楽しんでいるようなサラの答えに、ソラは瞳を細める。
 何かがぷつりと切れたような、そんな感覚。

「――サラ姉さん」
 気づけば彼女が苦手とする名前を呼んでいた。
「ふぇ!?」
 目を丸くして、声をもらしたサラの肩に手を添え、引き寄せる。
 体勢を崩した彼女の身体が、胸に軽い衝撃を与えた。
 自分と同じ色をした髪を優しく梳いてやる。
「サラ姉さん、サラ……好きですよ。
 誰より何より貴女のことを想っています。
 サラ、僕は貴女が――」
「たっ、タンマタンマ、ストーップ!!
 一回でいいの! 一回で!!」
 心行くまで思いのたけを言い募ろうとしたのに、サラの大声と手にはばまれる。
 口をふさがれながらも彼女に目をやると、顔を真っ赤に染めていた。
 どうやら女性型としての羞恥心は持ち合わせていたらしい。
「回数を決められた覚えはありませんよ」
 サラの手をどけて、ソラは反論する。
 罰ゲームは、『サラに好きだと言うこと』。
 何度言うのか、どんな風に言うのか、詳細は決められていない。
「ま、まあ、そうなんだけどさ。
 でもわざわざ自分で罰ゲーム増やさなくっても……」
 サラはぶつぶつと文句を言う。
「毒も食らわば皿までです」
 どうせ彼女には分かっていないのだ。
 ソラが罰ゲームの内容を聞いたとき、どんな気持ちになったかなんて。
 いつも想いを隠して過ごすというのがどれほど大変なのかなんて。
 だからいっそのこと、全部暴露してしまいたくなった。
 今の少女には受け止めきれないだろう、大きく育った感情を。
「ソラにとって今のは毒だったんだ」
 少しだけがっかりしたような、それでいて安心したような。
 曖昧な表情をサラは浮かべる。

「何ですか? もしかして、本気にしたとか」
 意地悪く笑んで、ソラは言ってやった。
 ボッと、赤かったサラの顔にさらに火がつく。
 本当にこういうときは分かりやすい。
 いつもこれくらい考えが読めればいいのに、とソラは思った。
「ししっ、してな……くは、ない……けど」
 嘘をつくにはその顔も口も正直すぎた。
 居心地悪そうに体を縮こまらせ、視線を泳がせて。
 動揺の大きさは手に取るように伝わってくる。

「本気にしてもいいですよ。
 嘘なんて言ってませんから」

「えぇ!?」
 さらに驚かせると分かっていて、ソラは言った。
 そして、一瞬、後を続けようか迷う。
「姉さんのことが好きなのは当たり前でしょう。今さらですよ。
 それとも姉さんは、僕のことが好きじゃないんですか?」
 けれど結局、うやむやにしてしまう言葉を口にする。
 本当は全部を知ってもらいたかったけれど、それはソラの自分勝手な思いだ。
 押しつけたいわけではない。
 いつか、自然と受け入れてもらいたい。
 だから今はこれでいい。
 サラは目をまん丸にしてから、にへら、としまりのない笑みをこぼした。
「ううん! 好き!!
 ソラのこと、だ~い好き♪」
 意味の違う『好き』なら、サラはたくさんくれる。
 それだけでは満足できなくなってきている自分にも、気づいている。
「僕もですよ」
 そう返しながらも、ソラは考えてしまう。
 サラの『好き』の重みが変わる日が来るのかどうか。
 願望としては、来てほしい。
 ただ、冷静な面は、今のままでは無理だろうと予測している。
 ソラが努力して、変えていかなくては。
 少しずつでいいから、意識してもらい、弟以上に見てもらわなければ。

「なんか罰ゲーム関係なくなっちゃったね!」
 そう苦笑するサラを見て、ソラは瞳を細める。
 こうして一緒に過ごす日常こそが、かけがえのない、尊いもの。
「いいんじゃないんですか? 気にしないでも」
 姉に向けながら、自分にも言い聞かせるように。
 気にしても、仕方がない。
 もう少しくらい、この居心地のいい中途半端な関係を、続けていてもいいかもしれない。
 ソラはそう思って、ふわりと穏やかに笑った。

 

 どうして罰ゲームで無理やり「好き」と言わせようとしたのか。
 そこまで頭が回らなかったのは、彼の落ち度。
 結局のところ少女の想いは、本人のみぞ知るということで。
 ゲームは終わりを告げたのだった。





 『名前を呼ぶネタ』が全カプ制覇できてないのに、またネタの流用です。
 こっちは思いついたカプだけ書いてきたいと思います。
 本当にこのサラはソラのことどう思ってるんでしょうかね~?
 そしてソラ君の生殺し状態はこの先も続く、と(笑)
PR

comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

trackback

この記事にトラックバックする:

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]